トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【大相撲】

日馬富士が逆転V 一人横綱の執念

2017年9月25日 紙面から

優勝決定戦を制し、賜杯と次女の日子ちゃんを抱きバンザイをする横綱日馬富士=両国国技館で(神代雅夫撮影)

写真

◇秋場所<千秋楽>

(24日・両国国技館)

 一人横綱の日馬富士(33)=伊勢ケ浜=が11勝4敗で並んだ優勝決定戦で大関豪栄道(31)=境川=を寄り切り、7場所ぶり9度目の優勝を果たした。2度目の制覇に向けて首位だった豪栄道を本割で寄り切って追い付いた。11勝で制するのは1996年九州場所の大関武蔵丸以来で、1場所15日制が定着した49年夏場所以降で3度目の最低成績。1横綱1大関を破って9勝した貴景勝が初の殊勲賞を獲得した。新入幕から3場所連続で2桁勝利を挙げた阿武咲が2度目、10勝の新入幕朝乃山が初の敢闘賞。嘉風は4度目の技能賞となった。

 日馬富士が戦っていた相手は、目の前にいる豪栄道ではなく、自分自身の心だった。

 優勝には連勝するしかない状況で、本割に勝つと、決定戦も目の覚めるような速攻。7場所ぶり9度目の賜杯をつかみ取った。

 99年ぶりに3横綱2大関が同時休場した波乱の場所で、最後の最後に待っていた劇的なフィナーレ。「目の前の一番に命を懸けて、全身全霊を持って相撲を取った」執念の逆転劇だった。

 負けても、負けても簡単に休むわけにはいかなかった。横綱は自分しかいない。「序盤は心技体がうまく合わなくて。下がる場所もない。前を見て、あしたを見つめて頑張った」と苦しかった胸の内を吐露した。

 11勝4敗での優勝は過去2度あるが、横綱の優勝としては過去最低の数字。それでも、何ら恥じることはない。

 豪栄道との本割、決定戦とも頭で当たっていった。3年前の秋場所で右眼窩(がんか)内壁骨折の重傷を負った。「次やればどうなるか分からない」。鼻の近くに今もつぶれた骨が残っているが、復帰まで時間がかかるため手術はせず、一番一番に力士生命をかけてきた。

 両肘、両足首にもサポーターやテーピングが欠かせない。左肘は手術することも考え、夏巡業は途中からの参加となっていた。

 11日目が終わった時点で、金星4個を配給し4敗。トップの豪栄道は1敗だった。相撲協会によると、11日目終了時点で3差つけられた力士が逆転優勝したのは、今回が初めてだった。

 最後まで優勝を信じて部屋に治療に来てくれた人もいた。2006年12月に亡くなった父・ダワーニャムさんが「人の信頼を裏切れば、死んだことと一緒」と言っていたことを覚えている。支えてくれた人たちに「感謝ですね」と笑みを浮かべた横綱。優勝は最高の恩返しとなった。 (岸本隆)

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ