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【蹴球探訪】<TALK★FOOTBALL>李根鎬が語る韓国代表の現在地2010年5月29日
「アジアの虎」にとっても、「世界」の牙城はなお堅く、高い。7大会連続8度目の出場。W杯の常連国となった韓国代表だが、過去の苦々しい教訓から導き出した指標は「現実路線」だ。 先発FWの一角を狙う磐田FW李根鎬(イ・グノ、25)に、韓国の「現在地」と夢舞台にかける思いを聞いた。 (取材・構成=松岡祐司) ◆第一目標は「ベスト16」理想や願望を持ちながらも、眼前の現実をしっかり見据えた。その背景には世界との「距離感」がある。万能ストライカーは淡々と、そして決然としていた。 「南アフリカでの第一目標は『ベスト16』。個人的には、まずは試合に出たいと思っています。試合に出場して、ゴールを決めたい。それで、1次リーグを突破できればいいと思っています」 緻密(ちみつ)に計算された強化日程に沿い、チームづくりは着々と進行している。 「準備過程は非常に良いです。どんな強いチームと戦っても、やっていける準備はできています。良い試合ができる自信があります。個人的にも悪い組分けとは思っていません」 日本代表の岡田監督は高々と「世界4強」を掲げている。だけど、韓国は「16強」。まさに理想の対極にある。 「掲げる目標は違いますが、両国とも同じ思いがあると思います。ただ、自分たちにはまずは越えなければならない一線があります。それは1次リーグ突破です。決勝トーナメントで勝ち進むことを念頭に置き、16強に進むことです」 もちろん、夢には続きはある。 「16強に進めば、もっと上にチャレンジしたいと思っています」 歴史は何よりも雄弁だ。過去7度出場のうち、地元開催を除けば、計17戦1勝。確率論のデータではない。目を背けてはならない、「アジアの虎」の現実なのだ。 「W杯では戦うすべてのチームが格上です。その相手を打ち負かして、勝ち上がれるような強い精神力を持つことが大事です。残念ながら、日韓大会以外ではあまり勝っていません。それがなぜなのか、はっきりした理由はわかりません。06年大会も簡単に敗退したわけではありませんが、W杯で勝つことの難しさは十分に分かっています」 1度だけの負の連鎖なら受け流すこともできる。だけど、そうではない。過去を見詰め、糧として歴史を刻んでいく。 「ドイツ大会では1勝1分け1敗。国家代表としての自信はつけていると思っています。そして、前回大会以上に欧州で活躍している選手がたくさんいます。自信を持って大会に臨むことができると思います」 ◆やはり別格!!朴智星朴智星(マンチェスターU)、朴主永(モナコ)、李青龍(ボルトン)、奇誠庸(セルティック)。欧州で活躍するタレントは日本より豊富だ。 「欧州のトップリーグを経験した選手が多い分、どんな強いチームと対戦しても、気負ったり萎縮(いしゅく)したりすることなく戦えます。そういった選手たちが欧州の経験を代表チームにもたらしてくれています」 その中でも、1人だけスペシャルな男がいる。韓国の、いやアジアの宝と言うべき存在。 「朴智星選手は別格です。朴選手が出る試合と出ていない試合は大きな違いがあります。その高い能力がチームにもたらす影響ははかりしれません。ボールを取られない。たくさん走りますし、攻撃的なプレーで相手に大変な脅威を与えています」 高卒で入団した仁川では出番を与えられず、昨夏には決まりかけた欧州移籍が土壇場でひっくり返った。いつも苦難が付きまとってきた。だからこそ、夢舞台にかける思いは、強い。 「誰でも出られる大会ではありません。初めて参加するので心配な部分もあります。だから、心身両面の良い準備が必要なのです。自分自身もワンステップ、一段階、上に行けるようなきっかけにしたいと思っています。それには、自信がみなぎるくらい練習を積むしかありません。絶対に後悔しないように−」 ▼李根鎬(イ・グノ) 1985年4月11日、韓国・仁川出身の25歳。176センチ、71キロ。2004年に韓国・Kリーグの仁川へ入団し、07年に大邱移籍。同年にA代表に初招集され、アジア杯出場。08年北京五輪出場。Kリーグ通算48戦19得点。07、08年同ベストイレブン。09年4月に磐田入りし、同年6月に仏1部のパリサンジェルマンへの移籍が内定したが、外国人枠の影響などで頓挫したため磐田に再入団。右利き。
◆共通点多い日韓の両監督韓国代表の許丁茂(ホ・ジョンム)監督(55)と、日本代表の岡田武史監督(53)には共通点が多い。現役時代は代表で中心選手としてプレーし、指揮官としてA代表を率いるのも2度目。外国人指導者からの転換、しかも2007年12月7日に「同日就任」というおまけつき。今年2月に更迭論が巻き起こった点まで似通っている。 だが、ライバル関係にある両チームの現状や目標設定、強化への道筋は似て非なるものだ。 人気、注目度では下降気味の日本に対して、韓国は期待感がうなぎ上りだ。イングランド・プレミアリーグでプレーする朴智星、李青龍の活躍がけん引役となり、ベスト4を成し遂げた李栄杓(アルヒラル)ら「英雄たち」も健在。安貞桓(大連)の復帰という話題性も加わり、韓国のサッカー関係者は「02年組と若手タレントの融合が国民の関心を引き寄せている」という。 強化日程に関しても、今年に限れば、オシム監督時代のアジア杯4位という「負の遺産」に苦しんだ日本とは対照的だ。 韓国は今年1月、国内組中心で南アフリカとスペインに渡り、約1カ月間にザンビア代表、プラティナム・スターズ(南ア)、ベイ・ユナイテッド(同)、フィンランド代表、ラトビア代表とテストマッチを行った。2月の東アジア選手権3試合を経て、3月には仮想ナイジェリアとしてコートジボワールとロンドンで対戦。高地訓練、選考、対戦相手対策をバランス良くこなした。 さらに、今月10日から早々と直前合宿をスタートさせ、16日には海外組も含むベストメンバーでエクアドル代表と戦い、コンディションや調子を見極め最終候補メンバーの絞り込み作業に入った。ピム前監督とは対立していたKリーグの全面バックアップを受け、許監督の希望する強化準備が着々と進められているという。 韓国のサッカー関係者は「戦力では劣るかもしれない。地理的にも不利な要素があるかもしれない。ならば、準備では絶対に勝らないといけない」と強調。一方で、日本の準備に関しては「アジア杯の予選があったとはいえ、4強という目標に見合った準備ができたのでしょうか」と話した。 日本と韓国をリンクさせる必要はないが、やはり互いの成績は気になるところ。結果は果たして−。 (2010年5月18日 東京中日スポーツ紙面より) この企画、記事に対するご意見、ご感想をメールでお寄せください。shukyu@tokyo-np.co.jp
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