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【首都スポ】

[バスケットボール]3×3レジェンド・K-TA 20年東京五輪を目指す

2018年9月11日 紙面から

3人制バスケットボール「3×3」で20年東京五輪を目指すTOKYO DIMEの鈴木慶太=東京都江東区のゴールドジム東陽町スーパーセンターで(北田美和子撮影)

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 2020年東京五輪の正式種目になった3人制バスケットボール「3×3」(スリーバイスリー)で、37歳の日本代表がいる。今春のアジア・カップ(中国)で同種目の日本男子として国際大会初表彰台となる銅メダル獲得に貢献、大会ベスト3に選ばれた鈴木慶太(TOKYO DIME)だ。日本のストリートボールではいまや、レジェンド的存在の1人。全身全霊で「大好きなバスケットボール」に打ち込む日々を送る「K−TA」の思いに迫った。 (フリージャーナリスト・辛仁夏)

 そのプレーは、まるで宇宙遊泳。足がほとんど地に着いていない。試合中はずっと飛び跳ね動き回っている。2メートル近い相手と比べれば、183センチと小柄ながら、強靱(きょうじん)さと俊敏さを兼ね備えたガードとして、ドリブルで抜き去る華麗なプレーが得意で、シュート力も申し分ない。

 「大学時代に挫折して、2年の途中で退部するなど、決してバスケットエリートではなかったですね」

 鈴木こと「K−TA」は、小5の時にバスケットボールと出会った。高2まで6年間過ごした米国では「街中のあちこちにあるコートで、即席チームでのピックアップゲームが盛んでした」。中学生時代は大人たちに混じってストリートボール(ストボ)に興じる日常生活を送り、「高校ではトライアウトで15人しか選抜されないチームに入って活動していました」と言う。

 日本に帰ったら、本場で培った技術で、プロになろうと大きな志を持っていた。ところが、進学した明大では、スポーツ推薦で入ってきた実績のある選手たちに歯が立たなかった。日本で主流の5人制バスケットでの挫折。だからこそ、気付いたことがあった。

 「自分がやりたかったことは、米国のカルチャーの中ではやっていたストリートボールだ」

 大学を卒業する直前の2004年ごろ、米国発祥のストボが、日本でもブームになり始めていたことも背中を押した。

得意のドリブルで切り込む鈴木(左)

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 知人にストボで生活していくことに興味があるかと誘われ、「もう1回バスケットボールに本気に向き合おうと思いました」。大卒後に入学したスポーツトレーナー専門学校に通いながら、ストリートボーラーの活動をスタートさせた。07年には、仲間と一緒に「SOMECITY」というストリートボールリーグの興行を運営する団体を立ち上げた。

 「いまの僕の仕事は会社員としてこのリーグ興行の運営です。ですので、プロ選手ではなく、仕事をしながら二足のわらじを履いて、選手生活を送っています」

 競技化された「3×3」に取り組み始めたのは11年ごろ。14年W杯ロシア大会で日本代表初選出、16年中国大会にも出場した。そして、今年は4月のアジア・カップで日本を銅メダルに導き、大会ベスト3に輝いた。「自分のようなストリート上がりの選手がどこまで試してもらえるか(という気持ち)もあったし、結果を残すか残さないかで、今後の人生が変わるくらいの気持ちで臨みました」。6月のW杯フィリピン大会でも最年長として日本を引っ張ったが、世界の壁は高く、1勝3敗の1次リーグ敗退に終わった。

 「仕事も好きなことも趣味も生活のすべてがバスケなので人生そのもの」。現在、ストボリーグや3×3EXE・PREMIERのトップリーグなどの第一線で活躍する37歳のベテランは、東京五輪の正式種目に決まったことをこう語る。

 「ストリートボールにずっと関わってきた身として、それはうれしかったです。でも、五輪後に日本のバスケットボール界がどうなるかという危機感を持っています」。

 と同時に、個人的にはこんな選手になれたら…と思っている。「いい意味で、『気持ち悪い選手』になりたい。ストリートボールでちょっとずつステップアップしてきた選手が、39歳で、もしオリンピックに出たら、『こいつ気持ち悪いな』と、言われるかもしれないじゃないですか」。そう言って笑った顔にプライドがあふれていた。

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◆鈴木慶太★ア・ラ・カルト

 ★「SOMECITY」興行 東京、大阪、名古屋など8都市でリーグ戦や、チャンピオンシップイベントを行ったりしている。「運営モデルは、03年から07年ごろに派手な選手を集めて全米を回って試合を展開したAnd1(アンドワン)というバスケットボールブランドのプロモーション活動です。バスケットボールをもっと日常のものにしていきたい夢があります」

 ★寝ても覚めても 「バスケット一色の日々ですね。バスケットの仕事して、プレーして、家に帰って筋トレして飯食って寝るという繰り返し」

 ★趣味 銭湯巡り。「水風呂が好きで交代浴を3セットやります。リカバリーのためにお勧めです。これもバスケットのためにやっているかもしれませんね(笑)」

 ★ストイック 「全てはバスケットのために気をつけています。食事も麺類は食べませんし、お酒もたばこもやらないし、炭水化物も控えています」

 ★座右の銘 「継続は力なり」「低脂肪高タンパク」

<鈴木慶太(すずき・けいた)> 1981(昭和56)年7月3日生まれの37歳。川崎市出身。183センチ、83キロ。父親の仕事で米国に渡った小5のときにバスケットボールを始める。14年、16年、18年の3×3W杯日本代表。17年にTEAM TOKYOの一員として日本選手権3連覇、2度目の大会MVP。今年のアジア・カップでは日本の3位に貢献。同大会ベスト3受賞。最新世界ランキングは日本人最上位の66位。

<3×3> ストリートで親しまれていたハーフコートで行う3対3を国際バスケットボール連盟が2007年に正式な統一ルールを作り、新種目として確立させた。W杯などでは日本協会が代表チームを編成。国内のリーグ戦などでは、試合ごとに異なるチームを組んで出場することができ、大会に応じて個人にポイントが与えられ、選手はポイント順にランキングされる。

<主なルール> コートは横15メートル×縦11メートル。チーム構成は4人以内(交代は自由)。試合時間は10分1ピリオドで、どちらかのチームが21点以上得点した場合はその時点で“KO勝ち”。延長の場合は先に2得点したチームの勝ち。得点はアークの(1)外側=2点(2)内側=1点、フリースロー=1点。ショットクロックは12秒。

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