トップ > 中日スポーツ > スポーツ > 首都スポ > 記事

ここから本文

【首都スポ】

波乗る日本バドミントン界の逸材 早大の学生王者・古賀、目指すは東京

2018年8月26日 紙面から

東京五輪出場を目指す早大バドミントン部主将の古賀穂=東京都練馬区の早大学院で(斉藤直己撮影)

写真

 日本バドミントン界が熱い。2016年リオデジャネイロ五輪女子ダブルスでの史上初の金メダル以降、今夏の世界選手権、開催中のアジア大会でも複数のメダルを獲得。20年東京五輪に向け、男女とも特に20代前半の代表選手たちが目覚ましい活躍を遂げている。その仲間入りを虎視眈々(たんたん)と狙っている逸材が、早大の古賀穂(みのる、4年・富岡)だ。昨年、全日本学生選手権(インカレ)を初制覇、今年から日本B代表入りした21歳を直撃した。 (フリージャーナリスト・辛仁夏)

 サウスポーからシャトルを繰り出す多彩なショットのキレ味が鋭い。劣勢でも優位に立っても、ほとんど表情を変えないポーカーフェース。ラリー型で駆け引きの中から勝機をつかんでポイントを重ねるプレースタイル。試合中もオフコートでも、品行方正な青年、それが古賀だ。

 ジュニア時代以来となる代表活動で、今年は国内外の国際大会に出場する機会が増えた。4月の大阪インターナショナルチャレンジでベスト4に入ると、約4年ぶりの海外遠征となった6月のカナダオープンでは自身初となる決勝進出を果たし、銀メダルを獲得した。

 「昨年は自分にとって結果を出した飛躍の年でした。ランキング上位者に勝ったり、いい試合ができたりした成果で、今年から代表にも入ることができました」

 本格的に競技を始めたのは6歳くらいのとき。兄・輝(あきら、NTT東日本、日本B代表)の影響だった。

 「兄が練習に行くのについて行って、遊びで一緒にやってもらって自然にやり始めた感じですね。漠然とやっていましたが、昔からオリンピックに出る夢はありました」

 夢の実現に近づくために、福岡県の実家を離れたのは中学の時。兄がバドミントンをするために一足先に親元を離れて埼玉栄中に通っていたこともあり、「自分にとっては珍しくも心配もなく、むしろワクワクして楽しみだった」と、強豪として有名だった福島県富岡町の富岡第一中に、自らの意思で「バドミントン留学」を決めた。

 中2だった11年3月11日、東日本大震災に遭い、避難生活を経験した。学校や寮が福島第一原発から20キロ圏内にあったため、一旦は福岡に帰ったが、中3になった同年5月に猪苗代中で再開されることになった学校に再び戻り、富岡高入学後も猪苗代町で高校生活を送った。

 「被災して生活がままならない中、当たり前が当たり前じゃないことを経験しました。バドミントンができることは幸せなことで、親や周囲の方たちに感謝しなければいけないと思いました」

 早大バドミントン部の部長に“スカウト”され、スポーツ推薦で入学した古賀は、すでにジュニア時代からその才能を見いだされていた。それもそのはずだ。小中高と各年代の全国大会で優勝し、昨年にはついにインカレで個人と団体の2冠を獲得、全世代制覇を成し遂げた。

 「代表になってメダルを取ることが大きな目標」という東京五輪を2年後に控える今年は、未来予想図を描く大事な時期だ。大学を卒業する来春には、東京五輪の代表選考レースが本格的にスタートする。すでに世界で活躍している桃田賢斗(23)=NTT東日本=ら同世代の選手たちに追いつき、追い越すためにはホップステップの後に大ジャンプが必要だ。

 「(今秋の)全日本総合選手権でベスト4以上の活躍をして、日本のトップクラスにいるというアピールをしたい。五輪代表になるには必要不可欠なことだと思います」

 国内ランキングは9位。まだ上には上がいる。東京五輪代表切符は最大2枚しかない。それだけに、越えなければいけない壁は高く分厚い。

 「自国開催の五輪は一生に一度なのですごく出たい気持ちはありますが、その先のパリ(24年)やロサンゼルス(28年)も目指していきたいです。それには世界ランキングが必要になるので、この1年間で多くの世界大会に出場して勝って、来年春までには(現在の138位から)50位台に乗せることが必要最低限ラインの目標。まだいまはスタート地点に立った状態で、上にどんどん向かって挑戦ができると思います」

 自分には伸びしろがあると信じる古賀の目に、闘志の炎がメラメラと燃え始めている。

◆古賀穂★ア・ラ・カルト

 ★名前の由来 「僕の座右の銘は『実るほど頭を垂れる稲穂かな』。この言葉から自分の名前がつけられたように、そういう人間になりたいです」と話す自他共に認める真面目人間。「完璧主義。何を置いてもしっかりやりたい人ですね」

 ★憧れの人 「桃田選手、リー・チョンウェイ選手、林丹選手はすごく格好良いです」。先の世界選手権で日本男子初の金メダルを獲得した桃田は中高の2年先輩だ。そしてもう1人、「逆境をはね返して頑張る姿が格好いい二宮金次郎さん」。

 ★“イチ流”フィジカルトレ 「代表選手は試合が多いので、体力が必要。僕はメジャーリーガーのイチローさんもやっている初動負荷トレーニングで筋肉を柔らかくして可動域を広げ、疲労回復やけがをしない体づくりに取り組んでいます」

 ★意外な特技 「遊び程度ですけど、スノーボードです。高校時代の寮が山の麓にあって歩いてスキー場に行っていました。それと、手を使わずに、奥二重を二重にできます!(笑)」

<古賀穂(こが・みのる)> 1996(平成8)年9月30日生まれの21歳。福岡市出身。166センチ、63キロ。早大スポーツ科学部4年。小5、6と全国小学生大会連覇。中学から福島県富岡町にバドミントン留学し、中3時に全国中学生大会優勝。高3時には全国高校総体団体2連覇、個人優勝。2017年全日本学生選手権団体優勝、個人初優勝。本人によると「史上3人目」の小中高大の全国大会制覇。東日本学生選手権は3連覇中。両親、兄・輝(24)の4人家族。

主将の古賀(中央)を中心に勢ぞろいした早大バドミントン部のメンバー

写真

◆東京五輪への道

<五輪代表選考レース> 来春から20年春までの世界バドミントン連盟の世界ランキングに基づいて各種目の出場選手が選出される。リオ五輪では、シングルスは男女各38人ずつ、各種目で1カ国最大2人(組)で、ダブルスは男子・女子・混合それぞれ32人(16組)が出場した。最強国は中国。日本、韓国のほか、バドミントンが国技のインドネシア、マレーシアなどが追っている。

<18年日本代表> A、B、ジュニアの3代表で構成。男女シングルス各5人のA代表は、前年の全日本総合選手権で男女各1位と2位、日本ランキング男女各1位、強化本部推薦選手。B代表も男女シングルス各5人で、A代表以外の上位者から選ばれる。A、B代表が出場する大会はレベル別に分けて派遣されている。

    ◇

 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ