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【首都スポ】

[ラグビー]トップリーグ、地域とスクラム 日野レッドドルフィンズ、NTTコム

2018年5月12日 紙面から

トップリーグ未経験から入替戦に勝って昇格した初のチームとなった日野の(左から)村田主将、大坪・日野市長、細谷監督、下社長、染山副将=9日、東京都日野市の日野市役所で(大友信彦撮影)

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 ラグビーのトップリーグに新たなムーブメントだ。今季、初昇格を果たした日野自動車は9日、東京・日野市役所で日野市と合同の記者会見を開き、登録名を「日野レッドドルフィンズ」と企業名を外したことを正式に発表した。市も一体になって応援していくことを約束した。

 4月には、昇格9年目を迎えるNTTコミュニケーションズが、千葉県浦安市内に最新設備を備えた新グラウンド「アークス浦安パーク」をオープン。地域への開放も検討中という。地域との連携・共生へ。トップリーグの新たな動きを追った。 

  (文・写真=大友信彦)

◆日野レッドドルフィンズ チーム名から「自動車」外した

 史上初の快挙をとげたチームは、もうひとつ史上初の英断を下した。

 「トップリーグ未経験のチームが入替戦に勝って昇格したのは史上初めてのこと。そして、今シーズンは、日野自動車という企業名を外して『日野レッドドルフィンズ』に名前を変更します。日野自動車と日野市、日野市民、みんなで一緒にトップリーグを戦っていきたい」

 記者会見で、日野自動車の下義生(しも・よしお)社長はそう言い切った。

日野市内の飲食店に配布される応援コースター

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 NEC時代にチームディレクター、監督を歴任し、日本一に導いた細谷直監督が補足する。

 「ただ、昇格したチームの半数は1年で降格しているという現実もある。ワクワクする半面、厳しさも感じています」

 夢舞台はイバラの道。厳しいからこそ、日野が選択したのは、地域とともに歩むことだった。

 「ラグビー界では『ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワン』という言葉がありますが『オール日野』でやっていきたい」(下社長)

 企業名を外す選択を、行政も歓迎する。

 「日野の地で創業し、日野の名を冠して、雇用、納税、地域の活性化に貢献してきた日野自動車が、さらにチーム名を変更して日野に貢献してくれた。市を代表して感謝します」とあいさつした日野市の大坪冬彦市長は市民に呼び掛けて「日野市応援団」を結成。商工会、観光協会と連携して市内各所に横断幕やポスターを掲示し、市内に応援店舗、飲食店の応援メニュー、応援ツアーの実施も計画している。

 「隣の府中には日本一に何度も輝いているチームが2つ(東芝とサントリー)もあって、町田にもキヤノンがいる。市長会でお話ししても、うらやましくて仕方なかったんです」

日野市役所の庁舎内にはレッドドルフィンズを応援する幟(のぼり)やポスターが

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 チーム側は、市内の幼稚園・小学校を訪問してタグラグビーを指導するほか、市の最大のイベント・新選組まつりでのかごかき参加などで地域の活性化を担う。互いが感謝しあい、支え合う関係は、理想といってもいい。それは選手も感じていることだ。

 「会社と市の理解があって、チーム名がかわって、そういう時期にこのチームに関われていることは幸せです。責任も重くなるけれど、その分喜びも多くなる。覚悟を決めてやります」と村田毅主将は話した。

 日野自動車は現在、市内にある工場を茨城県古河市などに移転中。2年後には約30万平方メートルの土地が空く。そこにラグビースタジアムを作る構想もあるという。

 「いろいろ調整もあるし、土壌調査にも時間が必要。いつまでにとは言えないけれど、地域の方にも利用していただいたり、(防災など)安全面でも貢献できる。私自身はなるべく早くと願っています」(下社長)

 最後は夢のスタジアム構想まで披露。企業名を看板から外して地域とともに−。東京の西、人口18万人の町で、歴史的な挑戦が始まる。

<日野レッドドルフィンズ> 1950(昭25)年に日野自動車ラグビー部として創部。61、65年度全国社会人大会出場。90年代に元フィジー代表主将のパウロ・ナワル・7人制日本代表元監督、95年W杯日本代表のブルース・ファーガソンらフィジー出身選手を中心に強化。トップリーグが発足した2003年は3部に相当する関東社会人1部。08年に2部にあたるトップイーストに、18年にトップリーグに昇格した。

グラウンド横に設置された大型モニター。練習の様子も映し出せる 

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◆NTTコム、浦安に最新技術満載の新本拠地

 「これまで企業スポーツではあまり重視していなかったけれど、これからは地域密着を進めていきます」

 最先端のテクノロジーを満載した新グラウンドとクラブハウスを公開したNTTコムの内山浩文GMは言った。グラウンドは天然芝2・5面。スクラム練習などで使える人工芝部分は、一般的なゴムチップより高温になりにくく、クッション性も高いヤシ殻チップを採用。ゴールポストはW杯規格の17メートル、国内最大級の高さだ。

 クラブハウスの中はさらにオドロキの連続だ。室内練習場は2階まで吹き抜けで、ラインアウトの練習も問題なし。固定バイクなどのトレーニング機器は新開発のセンサー内臓ウェアとつないで心拍数などをコンピューター管理できる。メディカルルームには超音波や衝撃波を使って治療や検査を行う最新機器が並ぶ。

 「グラウンドや室内練習場は、週末には地域の方々に開放する方向で調整しているところです。選手も、パーソナルトレーナーのような形で地域からの利用者をお手伝いすることで、アスリートとしてデュアル(複数の)キャリア養成につながるはずです。最新機器もいつも利用できるわけじゃなくても、体験プログラムを組むことはできると思う」(内山GM)

最新のトレーニングシステムを導入。心拍数などの情報がモニターに表示される

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 具体的なプログラムは選手自身が検討しているという。ハードとソフトを地域に提供しながら、勝利を目指す…NTTコムが新しい一歩を踏み出した。

<NTTコミュニケーションズシャイニングアークス> 1976(昭51)年に発足した電電公社東京支社ラグビー部が母体。のちNTT関東、NTT東京、NTT東北を統合してNTT東日本のチーム名での活動を経て、2007年からNTTコミュニケーションズ本社のラグビー部として再編。10年トップリーグに昇格。トップリーグでの最高成績は16年度の5位。日本代表に15年W杯代表のFWアマナキ・レレイ・マフィなど。

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