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【首都スポ】

[トライアスロン]急成長の小田倉 初メダルとるぞ

2017年10月13日 紙面から

初メダル獲得へ、プールサイドで笑顔を見せる小田倉真=東京都東村山市で(内山田正夫撮影)

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 今大会で初メダルを狙う有望な社会人1年生がいる。昨年の大会で、表彰台まであと一歩と迫りながらの5位だった小田倉真(24)=三井住友海上=だ。今春に日体大を卒業、日本男子のエースで日本ランキング1位の古谷純平(26)と同じ所属チームに入るなど急成長中の期待の星は、日本トライアスロン界の偉大な存在、田山寛豪(35)=NTT東日本・NTT西日本・流通経大職=を必ず超える覚悟でいる。 (フリージャーナリスト・辛仁夏)

 今年の最重要課題は「順位よりもコンスタントにレースに出ること」という小田倉は、この4月から半年で13大会に出場した。アジア・カップでは1桁台の成績を残すも、世界の舞台ではまだ実力は及ばないのが現状で、脚筋力をつける忍耐の時期だ。

 プロ1年目で懸命に走り続けた心身の疲労が重なり、夏ごろに五月病のような「気持ちが切れる感じ」が出ていたようだが、9月下旬に行われたアジア・カップ村上大会で2位の好成績を挙げて復調の兆しをつかむ。「負けたくない相手」という、五輪4大会出場、日本選手権10度優勝の田山とのランで、デッドヒートを演じた末の惜敗だった。

 「ずっとぴったりとくっつかれ、8キロ過ぎで息遣いも聞こえなかった田山さんにすっと抜かれてしまい、相手に勝負のレースをされた」

 周囲からはそろそろ田山を追い抜き、世界で戦える選手になるように背中を押されているという。小田倉自身も、できれば本気度マックスの田山に勝ち、次のステップを踏みたいと思っている。

 「大げさですけど、田山さんを抜かないとこれから先はないし、東京五輪に出る資格もない。村上大会は悔しかったけど、田山さんと競り合ってうれしかったし、楽しいレースができた」

 その田山からは表彰式で「何負けているんだよ」と言われ、「すみません。もうちょっとお待ちください」と返答。次の対決のチャンスとなる日本選手権で、しっかりと借りを返すつもりだ。

 5歳ごろから始めた水泳は小2から選手コースに入り、高校まで続けた。しかし、目立った結果を残すまでは行かず、本格的に競技をする意欲を失った大学では、学業に専念するつもりだった。

 「最初は運動する気がなかったが、健康目的のためにトライアスロンに取り組み始めた」

 幼少時から水泳をやっていて、泳ぎで一番好きだったのは「クロールの長距離」。それに加え、持久走も得意だったこともあり、「ちょっと興味本位でやってみただけで、本気で上を目指すつもりはなかった」という程度だった。そんな気持ちが変化したのは、大学2年だった2013年9月の日本学生選手権(インカレ)前日だ。「その日、東京で開催されることが決まったオリンピックに行きたいなと思った。監督やコーチからも『可能性あるんじゃないの?』と言われて意識し始めて」、積極的に打ち込むことになる。

 競泳で一度は挫折した競技人生が、スイム、バイク、ランという3つの種目を同一競技にしたトライアスロンで、なぜ花開いたのか。24歳の好青年はこんな実感を口にした。

 「水泳はどんなに頑張っても天才に勝てないというか、才能がものをいう競技だった。でも、トライアスロンはやり始めたら努力するたびに強くなるし、努力した者勝ちかなと。努力すれば結果が出せることを痛感したのがモチベーションにつながっていると思う」

 素直で気が優しく、まじめに練習に打ち込む不断の努力の持ち主は、競技歴5年と短いながらも、この競技の神髄に迫る。「一番の魅力は、レースごとに展開が変わることで、苦手な種目があっても挽回できるのが面白いところかな」と。

 東京五輪の目標は「8位入賞」と控えめだが、もっと日本でトライアスロンが発展して多くの人が楽しめるようにしたいという壮大な目標を持つ。そのきっかけを自分がつくるためにも、諦めない、しぶとい選手になりたいと夢を抱いている。

◆小田倉真ア・ラ・カルト

 ★理想のレース「スイムで1番を狙い、バイクコースに1番で乗り込み、バイクでは積極的にローテーション参加して。ランで上位争いをする積極的な展開にしたい」

 ☆大学時代は不摂生 「ハンガーノック(エネルギー不足と低血糖状態)になったら、コーラを飲むといいよ」という情報をうのみにして、練習後に毎日大好きなコーラを2リットル飲んでいたという。無頓着だった食生活や体重管理を昨年12月から改善し、いまはコンディションづくりに精を出す。

 ★カラオケ好き「基本的に場を盛り上げるのが好きで歌うことが好き」といい、十八番は、MihimaruGTの「気分上々↑↑」だ。

 ☆座右の銘「精神一到」。この言葉をいつも頭に入れながら、日々の練習やレースで頑張っているという。「何も考えずにがむしゃらに取り組む自分にマッチしているかな」

<小田倉真(おだくら・まこと)> 1993(平成5)年7月20日生まれの24歳。東京都小平市出身。164センチ、58キロ。三井住友海上火災保険。日体荏原高から日体大。トライアスロンは大学1年から始める。今年の主な戦績は、アジア・カップ大阪城大会2位、アジア選手権2位。日本選手権は13年から今年5回目の出場。昨年はバイクで落車するも、終盤のランで挽回して5位。最新の日本ランキング2位。

◆「魅力的な選手」三井住友・川合監督

 日本男子トップ選手を抱える三井住友海上トライアスロン部の川合貴紀監督(45)は、小田倉の人柄と競技に取り組む姿勢を「陰日なたなく練習に取り組め、目の前の選手を追えることができるし、素直でうそをつかず頑張れる魅力的な選手」とほめた。同部では強化拠点を整備し、バイクのローラー台や、ミーティングルームなどを備えた「アスリートハウス」を約3カ月前に完成させた。世界を見据えた強化環境が整ってくれば、東京、その次の五輪メダル獲得も夢物語ではないかもしれない。

◆第23回日本トライアスロン選手権(2017)

 東京・台場、兼NTTトライアスロンジャパンランキング最終戦/パラトライアスロン・デモンストレーション

 ▽15日・パラトライアスロン7時、日本選手権女子8時25分、同男子11時▽お台場海浜公園(日本選手権=スイム1・5キロ、パラトライアスロン=500メートル)、お台場周辺道路(日本選手権=バイク40キロ、ラン10キロ、パラトライアスロン=バイク10キロ、ラン4キロ)▽日本選手権=男子61人、女子52人、パラトライアスロン=8人▽日本トライアスロン連合、東京中日スポーツ・東京新聞主催

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 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。

 

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