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【首都スポ】

[大学ラグビー]明大の司令塔争い激化 3年の松尾、忽那、4年の堀米がしのぎを削る

2017年10月7日 紙面から

 紫紺の司令塔争いが熱い!! 21年ぶりのラグビー大学日本一を目指し、対抗戦グループで開幕2連勝と好スタートを切った明大。全国から逸材が集まるタレント軍団でも、激しいポジション争いが行われているのが背番号10のSOだ。大胆なアタックが光る松尾将太郎(東福岡)、ディフェンスとコミュニケーション力が持ち味の忽那鐘太(石見智翠館)という3年生2人と、安定感抜群の堀米航平(4年・流通経大柏)という三者三様の才能がしのぎを削る。シーズン本番、紫紺の軍団を復活に導く司令塔の座をつかむのは誰か? (文と写真=大友信彦)

◆長短のパス操るファンタジスタ 松尾将太郎

松尾は鋭いステップと急加速、ランニング能力が光るファンタジスタだ(1日の筑波大戦で)

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 1日に秩父宮ラグビー場で行われた明大−筑波大戦。有利と予想された明大に対し、既に慶大に敗れている筑波大が食い下がった。明大FWの波状攻撃に3トライを奪われながら、攻め込んではワンチャンスにトライを重ねる。ハーフタイムのスコアは21−21の同点。しかし後半、試合は劇的に変貌した。

 試合再開のキックオフから、明大は一気にギアを上げる。FWの縦突破で生まれた外側のスペースに、次々とBKの快速ランナーが走り込み、大きくボールを動かす。

 まるで2段ロケットのような加速感。そのタクトを振ったのが、背番号10のSO松尾将太郎だ。長短のパスを自在に操り、相手ディフェンスに隙があれば自ら走り、一気に敵陣を攻略。同点で折り返した激戦はどこへやら、試合終了時、スコアボードは68−28と40点差になっていた。

 「前半はFWがよく我慢してくれましたね」

 松尾は真っ先にFWをたたえた。

 「あえて(点を)取り急がないよう意識しました。チームのプランが、前半は点を取ることよりも相手を消耗させることだったので、FWでボディーブローを浴びせるようにして。その分、後半は筑波が疲れて、外にスペースが空きましたから、そこからは思い切り外のスペースを攻めました。後半点を取れたのも、前半我慢してくれたFWのおかげです」

 FWをたたえるところにも、司令塔の自覚が垣間見える。

 松尾はもともと、ダイナミックなアタックが魅力だ。東福岡高3年のときに史上初の高校3冠を獲得。長短のパスを操り、スペースを見逃さずに走り込むセンスはまさしくファンタジスタと呼ぶにふさわしいが、前半の40分間、松尾はそれを封印した。

 「試合では想定外のことが起きると想定していました」。攻めるだけ、点を取ることだけがラグビーではない。陣地を進め、味方が有利な状況をつくり、相手を消耗させれば、試合の主導権を握ることができる。

 「前半はBKにミスが多かったけど、FWがホントに我慢してくれた。今日は競った試合になると思っていたけれど、FWが我慢比べに勝った感じです」

 高校ラグビー界を席巻したファンタジスタは紫紺のジャージーをまとい、大学ラグビー界をも代表する司令塔に変貌しようとしている。

<松尾将太郎(まつお・しょうたろう)> 1996(平成8)年10月19日生まれ、福岡県出身の20歳。170センチ、83キロ。SO。小3のとき、千葉の「成田チャオズ」でラグビーを始め、福岡に戻ってからは中鶴少年ラグビークラブでプレー。東福岡高では2年でレギュラーのSOとなり、3年で副将。春の選抜、夏のセブンズ、冬の花園と3冠を達成。2016年のU−20(20歳以下)世界選手権に日本代表で出場した。商学部3年。

◆チーム鼓舞するコミュニケーター 忽那鐘太

判断力が光る忽那。自ら前に仕掛ける強さも魅力だ(1日の筑波大戦で)

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 明大が筑波大を破った一戦で、松尾から司令塔のバトンを受け継いだのがSO忽那鐘太だった。松尾と同じ3年生。入学直後の春季大会では1年生ながら背番号10を着けて注目されたが、その後は2年の夏に左膝を痛めるなど、けがに泣き、この試合が秩父宮での公式戦デビュー。

 「めっちゃ緊張しました。会場入りするまではいつも通りリラックスしていたけど、試合前のウオームアップのときから歓声がすごくて、気にしないようにしても聞こえてしまって」

 だが、前半、仲間の戦いをベンチで見ている間に肩の力は抜けていった。明大が47−21とリードを広げた後半18分にピッチに入ると、忽那は大きな声で周りの選手とコミュニケーションをとり、ロングキックで陣地を進めた。明大は22分、25分と連続トライ。筑波大の息の根を止めた。

 「自分の持ち味はコミュニケーションだと思います。ピッチに入ったときは残り20分で、先発した選手たちに疲れが出てくる時間帯で、みんな口数が少なくなりがち。だから、フレッシュな自分が積極的に声を出してコミュニケーションをとっていきました」

忽那鐘太の兄・昨季筑波大主将の健太

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 2歳上の兄・健太は昨季の筑波大主将(現ホンダ)で、高校時代に全国弁論大会で6位入賞した熱弁家だ。

 「ずっと比べられてきたし、嫌でも(コミュニケーション力を)出さないといけない(笑)。でもずっと兄を見てきて、練習だけではなく、グラウンド外の寮生活などで下級生ともたくさん話して、試合でも話しやすい環境をつくるところとか勉強になりました」

 自らは黒子になって周りの能力を引き出す。それが忽那のスタイルだ。 「帝京大も東海大も、強いチームはどこもコミュニケーションの量が違う。しんどいときこそしゃべって、走って、ゲームがスムーズに進むようにしていきたいです」

 スナイパー型ともファンタジスタ型とも違う、新たな司令塔像が、大学ラグビー界に新しい風を運ぶかどうか。

<忽那鐘太(くつな・しょうた)> 1997(平成9)年3月19日生まれ、愛媛県出身の20歳。176センチ、87キロ。SO。5歳のとき、地元の松山ラグビースクールでラグビーを始める。島根県の石見智翠館高で3年連続全国大会出場。明大では1年の春季大会から1軍入りを果たした。3歳上の幹太は天理大OB、2歳上の健太は筑波大の昨季主将、今季からホンダでプレーしている。文学部3年。

◆正確なゴールキック魅力のスナイパー 堀米航平

経験豊富な4年生の堀米も復帰間近だ(昨年12月の早大戦で)

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 明大の司令塔争いで、忘れてはならないのが4年生の堀米航平。1年のシーズンから紫紺のジャージーを着て、2年時には当時4年のSO田村熙(ひかる、現サントリー)をFBに追いやって10番を背負った。堀米の持ち味は正確なゴールキックと確実なディフェンス力で、安定感は抜群だ。今季は夏までけがが続いたが既にBチームで復帰。ジュニア選手権に出場して、1軍での出番に備えている。

 丹羽政彦監督(48)は筑波大戦後、「松尾は自分で仕掛けてボールを動かしていける。忽那はスペースを見つけていい判断をしていた。堀米も戻ったし、これからSOをどう使っていくか、しっかり準備したい」とコメントした。実績からも安定感からも計算でき、チームメートの信頼も厚い堀米を第一候補に考えているようだ。安定感のある堀米のキック力をベースに、松尾のアタック力、忽那のコミュニケーション力を相手に応じて加えていけば鬼に金棒。3年生コンビの成長次第では違う組み合わせもありうるだろう。

明大の丹羽監督。自身も現役時代はSOとWTBでプレーした

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 ラグビー王国ニュージーランドでも、正確なキックのマーテンズ、ファンタジスタのスペンサー、猛ディフェンスのブラウンという三者三様の天才が背番号10を争った時代があった。

 打倒・帝京大と21年ぶりの大学日本一に向け、明大の司令塔争いから目が離せない。

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