トップ > 中日スポーツ > 競馬・ボート・競輪 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【競馬・ボート・競輪】

[ボート]井口が新田が“津っ走る” あすから津ボートGI「つつじ賞王座決定戦」

2017年10月7日 紙面から

 津ボートの大一番、開設65周年記念GI「つつじ賞王座決定戦」は8日から13日まで行われる。ここ3回は春に開催されたが、今回は10月開催となり、年末のグランプリ(GP)を見据えた賞金争いとしても激しさを増しそうだ。地元・三重の2強、井口佳典(40)と新田雄史(32)の師弟コンビにとっても井口はトライアル2nd発進のベスト6入りへ、新田は2013年以来2度目の出場を引き寄せるためにも大切な6日間となる。また今節から新エンジン、新ペラが導入。不確定要素が多いなか、9月10日に当地で行われたエンジン性能検査から、谷知也整備長ら関係者の話をまとめて優良機を占ってみた。

 恐らくその夜は眠れなかったのではないか。2015年5月17日、新田にとっては忘れられない日。地元、津ボートでの開設63周年記念の優勝戦。ポールポジションの1号艇から先制し、独走態勢へ。誰もが新田の地元GI優勝を信じて疑わなかったが、最終2マークで茅原悠紀に大逆転の差しを許してしまう。油断? 慢心? 茅原のターンもすごかったが「どこかに心の隙があった」とその後、新田は語っている。

 この借りは絶対返さないわけにはいかない。2013年にオールスター(当時は笹川賞)を制しているSGウイナーのプライドにかけても並々ならぬ決意で地元の大一番に挑む。

 今年の優勝はここまで8月の徳山一般戦のみだが、SG5戦、皆勤の上に1月の大村GII優出2着、3月の蒲郡周年、9月のとこなめ周年で優出(ともに3着)があり、賞金ランキングは25位(4日現在)とまずまずの位置。11月の下関・チャレンジカップ出場は「ほぼ大丈夫でしょう」。毎年の目標である13年以来2度目のグランプリ出場へ「近況はリズムよく乗れてます。最後の勝負に出る準備はできている」と意気込みはすごい。

 高ければ高い壁の方が登ったとき、気持ちがいい。趣味は登山。先月末にも北アルプスの槍ケ岳を踏破して最高の気分転換はできた。勝てばグランプリ出場のベスト18入りはほぼ間違いない。何より、2年前に味わった屈辱を晴らすために目の色を変えた新田の激走が見られるに違いない。

 「地元で年1回の大きいレース、優勝を目指して乗り込みます!」。優勝最有力候補の地元のエース・井口は闘志満々で、周年記念に臨む。

 津の新春レース優勝からスタートした2017年、同じくホーム開催となった2月東海地区選、3月徳山GIIMB大賞、8月津お盆レース、9月福岡で優勝し、今年の優勝は5回となった。3月児島クラシック、7月まるがめオーシャンCのSG戦を含め、優出回数は12を数える。

 「(SG)タイトルは取れていないけど、こつこつとやってこれた」結果、獲得賞金額は約6700万円で6位(4日現在)につけている。上位18選手が挑める年末の住之江グランプリ出場へ順位的に余裕はあるが、黄金のヘルメットを勝ち取るためへの戦いは続く。

 まずはトライアル2ndからの参戦となる6位以内をキープへ、11月下関チャレンジC最終日まで賞金の上積みあるのみだ。「そこはもちろん頭にあります。ここからが本当の勝負になる」。昨年のグランプリは1stは突破したが、2ndは(6)(5)(6)着で順位決定戦回りとなった。「あの惨敗、大敗は自分に何が足りないのかをものすごく考えさせられた」だけにリベンジの思いは強い。

 賞金レースラストスパートの起点としたい地元周年は、初日12Rドリーム戦1号艇。「焦らずにいい緊張感を持ってレースをしたい」と過去3回の優勝実績があっても慢心はない。「10回取ります、と言っています。まだ半分もいってないけど」と笑顔を交えながら、自ら高いハードルを設定していることも明かす。

 SG5冠、GI通算優勝13回を誇るレーサーが持つ的確な操艇技術、ここ一番で見せる鋭発&攻撃力は一級品。新エンジンの今シリーズは「全くアドバンテージがない」と横一線での開幕となるが、チャレンジ精神を忘れない地元エースが実力を強烈に見せつける舞台にする。

◆新エンジンを占う

 津ボートでは、今回から新エンジンが導入される。選手はもちろん、舟券を購入するファンにとっても手探り状態だろうが、何か少しでもヒントになることがないだろうか。そこで、9月10日に行われた新エンジンの性能検査を探ってみた。

 この性能検査には三重支部の選手18人が参加。航走テストとして1人につき3回ないし4回走り、バックストレッチでタイム測定を行った。トップの6秒69をマークした33号機を筆頭に31号機が6秒71で2位、24、61号機が6秒72で3位タイ…、など上位から別表のように並んでいる。

 さて、その数字がどれだけ信頼できるかというのが焦点。参加した松尾拓は「タイムは予想の参考になるんじゃないかなと思いますよ。6月の芦屋(ルーキーシリーズ)で僕は新エンジンを経験したんですけど、試走タイムの上位はやっぱり実際のレースでも動いていた印象があります」と話す。また、新田雄史も「ペラもまっさらの状態で乗ったし、エンジンの素性がそのままタイムに出ていると思いますよ。本番は、選手もペラを叩いてから特訓に行く人もいるから分からないけど、航走テストのタイムは参考になると思います」と説明してくれた。

 ちなみに9月まで使用していた旧エンジンでは性能検査の航走タイム上位は1位から17号機(6秒71)、18、61号機(6秒74)、14号機(6秒75)だったが、17号機は初下ろしから使用6節で3優出と滑り出しは好調。また14号機は1年間使い続けて2連対率2位の好成績だった。他場でも蒲郡などは昨年が35号機、今年は20号機と航走タイム1位のエンジンがエース機として君臨。これらを考えても頼りになる数字と判断できる。

 また、多くの選手の話を総合すると、浜野孝志が3回目に乗った48号機が注目だ。谷知也整備長は「浜野選手が『力がある感じでいいエンジンですよ』と言っていた。試走タイムはそれほどでもないですが、きっと直線よりターンの力や体感が良かったのでしょう」と話す。女子選手でただ一人、性能検査に参加していた篠木亜衣花は「体重差があるので私の方が男子選手よりタイムは良かったかもしれないけど、19号機は前に進んでいて、悪くないエンジンだと思います」と手応えを口にした。

 また、スタート事故防止や人身、接触事故防止のために、今回からエンジンは321型から1馬力軽減された331型に変更されるが、同整備長は「電気が変更され、デッドスロー(待機行動時のニュートラルでの微低速走行)の利きが良くなったため、インが強くなると予想されます」ともアドバイスしてくれた。

◆井口や新田だけじゃない 地元でGI初戴冠へ気合

 井口、新田とともに地元ファンの声援と期待を背に、高沖健太、東本勝利、中嶋健一郎の地元勢も気合の走りを見せる。

 高沖は巧みなレース運びで優勝戦線に食い込む。直前の尼崎で今年9回目の優出と一般競走が主戦場ながら、コンスタントに優勝争いに加わり、リズムはいい。近況GIでは目立った成績を残していないが過去6回の優出がある。的確なハンドルワークで待望のGI初制覇を目指す。

 東本も初のGIタイトル獲得へ照準を合わせる。今年は3月江戸川のGIダイヤモンドC優出(4着)を含め12優出し、4月福岡と津の5月ゴールデンウイーク戦、7月戦で優勝。その7月戦は11戦8勝とライバルを寄せ付けなかった。持ち前のスピード力はSG常連組に引けを取らない。得意のホームで善戦必至だ。

 中嶋は地元の若手代表として積極果敢なレースを見せたい。2月東海地区選の地元GI出場に続き、待望のつつじ賞参戦。地の利を生かし、ファンへアピールする。

◆総展望

 ダブルドリーム戦出場組がシリーズの中心になるのは間違いない。

 注目はやはり、初日ドリーム戦1号艇、地元のエース井口佳典だ。地元周年優勝は3回を誇る。今年は2月に当地のGI東海地区選を制した。SG、GI戦線でコンスタントに結果を残しており、リズムは悪くない。速いSと旋回のうまさは変わらずさえている。昨年は優出2着とあと一歩。4大会ぶりの制覇へ気合満点のレースを見せる。

 新田雄史も師匠の井口に負けてはいられない。今年の優勝は7月の徳山一般競走のみだが、この優勝を境にリズムは良くなってきている。直前の下関周年は予選落ちしたが、その前のとこなめ周年では優出3着。持ち味の鋭いターンで、地元周年初優勝を目指す。

 上々のリズムで参戦するのは白井英治だ。8月のメモリアルで優出2着、続く9月の多摩川周年でも優出2着。そして、直前の下関周年で優勝を果たした。津で走るのは優出した62周年以来だが、緩急自在の走りで優勝争いへ食い込む。

 田中信一郎は安定した成績を残している。特に夏場以降調子が良く、直前の下関周年でも優出した。さばきのうまさに注目したい。

 菊地孝平は直前の下関周年で優出した。近況リズムに乗り切れていない面はあるが、調整で苦戦することは少なく、流れひとつだ。夏場以降、SG、GI戦線で苦しんでいる池田浩二だが、フライング休み明けとなった直前のとこなめで優勝し、勢いをつけて今節に臨むことができる。当地周年は2大会連続優出中。2日目ドリーム戦1号艇でもあり、相性いい津で好結果を期待したい。

 63周年の覇者茅原悠紀は旋回が巧みで、道中もロスのない走りを見せる。連覇がかかる篠崎元志はスピードある走りが持ち味。魚谷智之は当地との相性がいい。枠番不問で、緩急自在の走りに注目したい。

 ドリーム組以外でも2013年のチャレンジCで優勝した森高一真、同レースで優出した山口剛、三井所尊春は周年でも優出しており、津は得意にしている。室田泰史も津は相性がいい。

 地元三重支部勢は井口、新田のほかにも、走りが巧みな高沖健太、思い切った攻めが持ち味の東本勝利、中嶋健一郎が顔をそろえ、遠征勢を迎え撃つ。

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ