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【プロ野球】

ダルも絶賛した右腕・山岡泰輔 クレバーで人懐っこい魅力も

2017年11月15日 紙面から

オリックスの合宿所「青濤館」の前で色紙を手に笑顔の泰輔

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 本紙みんなのスポーツ中学硬式野球担当の瀬川ふみ子記者(46)が、取材を通じて知り合って追っかけてきた選手の素顔を紹介する第10回は、オリックスの山岡泰輔投手(22)。クレバーで、人懐っこくて、飾らない泰輔の魅力を、タップリとつづります。

     ◇

 私服で歩いていると、とてもプロ野球選手には見えません。もともと細めな上、着痩せもするから鍛え上げられた筋肉も見えないし、はやりの服をオシャレに着こなすお兄ちゃんには見えても、プロの第一線で投げているピッチャーだなんて思えない! それが山岡泰輔です(笑)。

 彼を知ったのは、広島・瀬戸内高3年夏の広島県大会決勝戦。広島新庄高の田口麗斗(現巨人)と投げ合い、延長15回を1安打無失点、15奪三振に抑えながら引き分け。2日後の再試合を完封して甲子園出場を果たしました。その甲子園で泰輔が投げる映像を、海の向こうにいたダルビッシュが見て、「これが一番だわ」とツイッター上で絶賛したことで、一気に名前が知れ渡りました。

 U−18日本代表にも選ばれ、準優勝に貢献。プロのスカウト陣も彼を上位指名しようという動きを見せましたが、泰輔はプロ志望届は出さずに東京ガスに入社。後から聞いたら、「JAPANで松井裕樹(当時桐光学園、現楽天)と一緒にやって、あぁ自分はまだまだだな。社会人に行って力をつけてからの方がいいだろうなと思ったからですね」と言ってましたが、その道を選んで正解でしたね!

 泰輔と話すようになったのは、東京ガスに来てから。試合を見に行ったときや、泰輔がいた時のU−18の仲間である松井、渡辺涼(日本ハム)、園部聡(オリックス)らと私が親交があり、泰輔も一緒に食事をするようになってからです。初対面のときから気さくで、タメ語に近い敬語で話してくるので、こっちも気を使わないで話せちゃうのがいいんです(笑)。

 松井や渡辺、園部らの中にいる泰輔を見て思ったのは、先にプロに進んだ選手たちをうらやむこともなく、追いついてやるっていうギラギラしたものを見せることもなく、今の自分の位置をちゃんと分かって、自分の道を歩いてるなってこと。社会人1年目でしっかり体をつくるとともに、実戦経験も積みました。都市対抗予選という会社を背負って戦う試合でも、大事な場面で結果を出していく姿は圧巻。文句なしのドラフト候補になってオリックス単独1位指名でプロ入りしました。

 そんな泰輔は、とにかくポジティブでプラス思考。ダメなこと、嫌なことがあっても引きずらないので、近くで見ていて気持ちいいです(笑)。泰輔は自分のことを「ストレスフリーですよ、マイナスは出てこないっす。得な性格って言われますよ」って言います。

 今季、いいピッチングをしてもなかなか初勝利に恵まれなかったけど、泰輔は意外とケロリとしていて、悲壮感みたいなものは全くありませんでした。「チームを勝たせられないことは悔しいし申し訳ないけど、自分が早く初勝利したいとかってことはなかったです。いつかはできると思っていたから(笑)」と泰輔。7度目の先発となった5月28日のロッテ戦(ZOZOマリン)でようやく初勝利。その後も勝ち星を重ねていきました。「やることさえやっておけば、ですね!」と、気持ちいいぐらいポジティブです。1年目からオールスターにも出場し、ナゴヤドームでの第1戦(7月14日)で勝利投手になる駆け上がりぶりでした。

 さらに素顔を紹介すると、泰輔は賢いです。思ったことをストレートに言うけど、すごく考えて言っていることも分かります。頭の回転が速く、聞いたことに高速回転してドンピシャな回答をしてくるのもさすがです(笑)。

 U−18でチームメートだった松井とすごく似ているところもあって、泰輔も「あー、松井とは似てるっす! 根本的な感覚は一緒」って言います。奇想天外とも思える発想、鋭く核心をつくところ、マウンドに上がるとすごい選手なのに、普段は近づきにくい感もなければ、気さくで話しやすいってところまで、松井と泰輔はよく似ています。だからきっと、2人は仲が良くてウマも合うのだと思います。

 人懐っこい人柄がとてもかわいいってことも書いておきたいな。うそがない言葉も気持ちがいいし、つい年上がかわいがりたくなる要素をたくさん持っています。だから、東京ガスのときも、オリックスに入ってからも、先輩にかわいがられ、愛されているんです。

 先日、秋季練習をしている泰輔を訪ねて大阪に行き、今年1年を振り返ってもらったら、「反省しかないっす。数字的にも物足りなさを感じますね」と言った後で、「でも、自分自身ではこのぐらいの成績かなとも思っていたので…まあ予想通りかな。今の力だとこのぐらい。1試合1試合がすごく勉強になったので、それをまた2年目にしっかり生かしていきたいなって思います」と話してくれました。

 オールスター明けの7月22日、楽天戦(Koboパーク宮城)で4イニング6失点して負けた試合は特に覚えているそうです。「オールスターで打球を(右太腿に)受けて、その痛みとか動きにくさがあったから、やっぱりそういう不安を持ってマウンドに上がると付け込まれるんだなっていうのを実感しました。ちゃんと準備をしていかないといけないなって」と泰輔。今年1年の経験すべてがいい勉強になったと言ってました。

 一方、1年目からローテーションに入って活躍できたのは「社会人での3年間があったからですね」と言います。「都市対抗予選っていうあんなプレッシャーがかかるところで投げてこられたってこと、都市対抗ではあんなに多くの会社の人たちに応援してもらえる中で投げられたこと、だいぶ生きてますね。あの経験があったから、プロ1年目を多少なりとも戦えた気がします」。高校から即プロに入らず社会人を経由するという泰輔の選択は、やはり正解でした。

 そうそう、遠征へ行って、登板のない日、オフの日などは何をしてるの? と聞いたら、「寝たければ寝るし、買い物に行きたかったら行くし、自分のしたいことをしてますよ」と泰輔らしい回答(笑)。遠征先で時間が空くときは、一人で温泉や岩盤浴にいってリラックスもしていたそう。「雰囲気も出してないし絶対バレないっすよ」とまたニンマリ。

 そうは言っても、最近は大阪や神戸の街を歩くと、「山岡選手ですよね!」と声をかけられるようになったそうです。今後、ますます人気も出てきそうな泰輔ですが、これからもきっと、飾らないそのまんまの泰輔でいることと思います。 (瀬川ふみ子)

 

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