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【ゴルフ】

<パッと咲け2017>復活を期す森田理香子 13年賞金女王「東京五輪までに再び」

2017年3月21日 紙面から

元賞金女王が、シード陥落の屈辱。森田理香子の試練のシーズンが始まった(神代雅夫撮影)

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 2013年に4勝して賞金女王になった森田理香子(27)=リコー。しかし、翌年は1勝にとどまり、それ以降は上位争いをすることも少なくなって昨年は予選落ち18度でついにシード落ち。賞金女王のシード陥落は5人目となった。一時代を築いた元日本のエースは、なぜ極度の不振に陥ったのか。今年はどんな心境で新しいシーズンを迎えたのか。もがき苦しむ森田に本音を聞いた。 (聞き手・月橋文美)

 −昨年は初めてシードを手放した

 森田「(2013年に賞金女王になった後)よりよくしようと思い、自分だけでスイングをいじって、分からなくなっちゃった。怠けて遊んだとかそういうのではない。自分に知識がないのに、この人のがいいな、これをやってみよう、とやりすぎた」

 −おかしくなったきっかけは、2013年シーズン後の3ツアーズ選手権(女子・男子・シニアの対抗戦)だとか

 「1ホール目の第1打でチーピン(強いフックボール)が出て、何かがおかしかった。そして、最終ホールでやらかしたんです。40ヤードぐらいの第3打(アプローチ)をチャックリ、4打目をシャンク…。最終組で、グリーン周りではシニアの人たち、男子ツアーの人たち、ギャラリーと、全員に囲まれて見られている状況で。『あ〜いっぱいいる。やばいって思われてるよね』と悪い方に悪い方に考えていって。穴を掘って埋まりたかった。できるだけ深く」

 −その恥ずかしさがアプローチのトラウマに

 「あの状況だったから、余計にショックというか、怖くなっちゃった。なんでああいう球が出るのか分からなくて。いろんな人が教えてくれた、それは分かるんだけど、じゃあそれをどうやったら普通にできるのか全然分からない。言われたことを試してるうちに、どんどん違う方向に行っちゃった」

 −でも、翌年はすぐに1勝した

 「3ツアーズ選手権後はメチャクチャ調子がよかったんです。打つボールが全部まっすぐ行って。そして翌年の開幕3戦目で勝った。その時に『なんか、あんまりゴルフ面白くないな』って思った。それで今、バチが当たってるのかなと思うんです」

 −優勝へのこだわりがなくなった?

 「実はアマチュアのころから、優勝したら恥ずかしいって思ってたんです。今だから言えるけれど、プロ初優勝の時も、優勝したらスピーチしなきゃいけないから嫌だ、恥ずかしいから2位でいいって思ってやってた」

 −1勝目から2勝目達成までにすごく技術が上がったと思うのですが

 「岡本(綾子)さんのおかげです。09年の後半から見てもらうようになって、10年に初めて勝った。そこから断然よくなりました。でも、その時は理論は何も分からないまま、感覚でやってうまく打てた。ただ、賞金女王になった13年のシーズン後、岡本さんに『あなたは早すぎる。精神面が技術に追いついていないから、絶対この先苦労するよ』と言われた。正解でした。3年苦しんでる。今思うと、岡本さんはいっぱい自分で経験されたことを私に伝えてくれてた」

 −岡本さんにはほかにどんなアドバイスを

 「活字を追いなさい、本を読みなさいと言われた。最初は全然読まなかったけれど、今は読むようにしています。他のスポーツ選手や芸能人、著名人の本も。助言みたいなのを読むと、みなさん言ってることは岡本さんに言われてることに近いなと思います」

 −ほかの人からも影響が?

 「プロアマで回らせていただくお客さまたちも、何かを教えて諭してくださる。『こういうつらいことを経験したら、すごく強くなるんだよ』って、自分たちが経験したことを教えてくださる。賞金女王取ったときは全然心に響かなかったと思うんですが、今はすごく心にしみるんです。ファンの人もすごく温かくて、私の代わりに泣いちゃうし。いい時って誰でも寄ってくるし、何でもしてもらえるけれど、悪くなった時にどれだけ周りの人の助けがあるかってすごく大事だって思った。人間不信になったりとか、穴があったら逃げ込みたい、私に触らないでって時もあったけれど」

 −それが一番ひどかったのは

 「昨シーズンの最初。もう全然打てなかったから。開幕戦のダイキンオーキッド・レディスで、朝の練習場ですらも打てなくて。アドレスもできないくらいだった。一番つらかったのは6月のサントリー・レディスで、初めてグリーンの往復ビンタ(寄せがグリーンに乗らず往復)をやりました。毎週打ちのめされて、どんどん打たれちゃって、もう地面の下に見えなくなって沈んでしまったくらいでした」

 −今オフは

 「トレーナーが同じ松森姉妹(彩夏、杏佳)や穴井詩さんら、今まで一緒にしたことない人たちと宮崎で合宿しました。1月、2月と2回。朝ランニングして、トレーニングして、一日中ゴルフ場に入り浸るっていう充実した生活。だいぶ走り込みもしました。成果の実感はあります。今は無理なスイングをしていないので、自然体で立てるようになってきました。体も悪いところはありません」

 −悪い時期を経験したから得られたものは

 「たくさんあります。まずは周りの人のありがたさ。それが一番。もともとマイナス思考で、一時期は、もうホントだめだ〜ってなってたけれど、周りの人の協力ではい上がって、気持ちもそういうふうに考えられるようになった」

 −でもマイナス思考なのは変わらない?

 「今もマイナス思考。怖いもん。怖いし、常に不安。一生懸命やっても不安度は増すばかり。でも、不安になる余裕がないぐらい練習すればいいって思う。自分を客観的に見ると、走れて、トレーニングもできて、ボールもみんなより飛んで、でもシード落ちちゃう。そういう人がいるんだって、私が私を見てると危機感みたいなものを感じるんですよ」

 −今季のスケジュールは

 「次は3月24日からのアクサ・レディス。あと契約先主催のサントリー・レディス。それぞれの時点で優勝できていなかったら、スケジュール的に可能な下部ツアーにもエントリーするつもりです。でも、あくまでも出場するレギュラーツアーで優勝するつもりです」

 −目指すは今年も賞金女王?

 「今の立場で何言ってんだって思われるかもしれないけれど。仮に今年賞金女王になれなかったとしても、2020年東京五輪までに18年、19年とあるから、今年シードを取って、18年からまたしっかり結果出していきたいです」

◆イラッとするときもありますよ(笑い)…でも岡本綾子への師匠愛は永遠

<担当記者のちょっとおいしい話> 森田理香子には、必ず師匠・岡本綾子の名前がついて回る。そのことが窮屈になることはないのだろうか。

 「私は岡本さんに出会って、教えてもらって、賞金女王のタイトルを取った。岡本さんの名前がずっと私の上にあるから、それを守っていかなきゃいけない。自分がまた賞金女王を取ったら、岡本さんが世の中でまた大きく評価されると思う」という。

 ただ、最後にはちょっぴり本音も。「そりゃぁ、イラッとするときもありますよ」と苦笑い。「でも岡本さんは一生師匠。岡本さんはどう思ってるか分からないけれど、私はずっと岡本さんの弟子。師匠っていう位置は変わらないでいてほしいって思ってます」と、改めて師匠への愛を語った。 (月橋文美)

◆見〜つけた

 1月に森田が合宿していた岡山県のゴルフ場を訪れた。岡本綾子の指導で熱心にボールを打っていたのだが、併せて食トレも。パワーアップを図るため、ゴルフ場のレストランでもご飯の量を増やして食べていた。おかげで今月第2週の自身今季初戦時には7キロアップ。顔も少しばかり丸くなった。今後、フェアウエーで努力の成果が発揮されるのでは?

<森田理香子(もりた・りかこ)> 1990(平成2)年1月8日生まれ、京都市出身の27歳。164センチ、57キロ。8歳から祖父の経営する練習場でゴルフを始め、足立香澄に師事。京都学園高2年時からナショナルチームのエースとして活躍、3年時に関西女子アマ制覇。卒業後の2008年プロ転向。10年樋口久子IDC大塚家具レディスで初優勝。その後岡本綾子門下入り。13年賞金女王。ツアー通算7勝。

 

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