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【FC東京ぴーぷる】

食堂「キッチン猿江」 保坂秋男・由美子さん【後編】 お店をやめるまでに、J1優勝を

2006年12月11日

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チームがまだアマチュアだった東京ガスサッカー部時代から、選手たちを食事の面で支えてきたのが、深川グラウンド近くの食堂「キッチン猿江」の保坂秋男、由美子さん夫婦だ。2002年に小平に移転するまで、キッチン猿江には多くの選手、スタッフ、サポーターが足を運び、保坂さん夫婦との交流を続けてきた。トップチームが小平に移転してからは、下部組織のU−15深川の子供たちに食事のサービスを行い、また違った側面からチームを支えている。店を切り盛りする保坂由美子さんに、思い出話や、子供たちへの思いを聞いた。(聞き手・高橋正和)

「宝石の原石たちのために」

子供たちから贈られたサイン入りユニホーム

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T:高橋、H:保坂由美子さん

T:今はU−15深川の選手たちに、食事のサービスをしているんですよね?

H:今の高校2年生が、中学3年生の時かな。だから、3年くらいになるのかな。(チームから)練習後に、おにぎりか何かの軽食をって言われたんだけど、おにぎりだと、とにかく手間がかかるし、2人だけではとてもじゃないけど無理。おにぎり2つにみそ汁よりも、うちのメニューにあるオムライスなんかの方がいいじゃないかな。だから、普通の食事でもいいかなって言って。でも、うちは顔を見て作るから、冷めたモノは出さないし、安いからと言って、マヨネーズから何から全部手作りだからね。何日も仕込んだタレをかけてね。選手の父兄も、うちを見に来たことがあったけど、『安いから、ろくなモノが出ないって思わないでほしい』って言ったの。お客さんと同じモノを出すし、この店は34、35年やっているけど、インスタントと冷凍食品は使ってないからって。1人300円だからね。大盛りでも400円。お金もうけというよりも、東京ガスのサッカー部の子たちの引き継ぎだし、未来の星なんだから宝石の原石よ。どこかの子が、いつかは光るでしょ。

T:子供たちが来ると、にぎやかでしょうね。

H:クラブから義務付けられてはいなくて、ここだと食事が取れるから、食べたい時はどうぞって感じなの。希望者だけだけど、40人くらいは来るかねえ。まあ、この店にいっぱいになるわよね。ここに荷物がダーッと並んで、またいで、またいで、踏んづけて。子供たちも慣れたもんでね。店に入り切れないのが分かっているから、一気には来ないけどね。残って練習をしている子もいるし、後片づけする子もいるし。ここに来たら、お水も自分でくむし、食べたものは自分で下げる。お金はおつりも置いておくから、そこから取っていく。そうじゃないと、やってられないわよね。慣れてくると、子供たちから『今度は何が食べたい』って、言うようになるしね。

「約束を果たした国立への切符」

お店に飾られている思い出の写真

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T:子供たちをみて感じることは?

H:今年、高校に行った子たちが一番かわいかったね。今の高校2年生の子も、中学3年生もわれ関せずで、個人個人っていう感じだけど、今の高校1年生の子たちは、みんな和気あいあいとしてね。人なつっこさが違うのよね。去年の暮れかな。その子たちが高円宮杯の時に、『おばさん、西が丘に試合を見に来てくれない』って言うから、『おばさんは(決勝戦の会場だった)国立への行き方しか知らない』って。そうしたら、ちゃんと決勝に出て、国立競技場に招待してくれたの。そうしたらVIP席でね。女の人が並んで、ご飯やらおにぎりやら、焼きそばがあるのよ。それで、川淵チェアマン、高円宮の奥さんもいて、びっくりしたねえ。それで、この子たちが高校に行く前に、最後に手紙を書いたの。

T:どんな内容の手紙だったんですか?

H:(手紙を手に)君たちが猿江に来てから2年。あっという間。少しはエネルギーの足しになったかな。これからは高校生。大人に近付きます。今までは一番上にいたけど、今度は一番下になる。それが世の中の順番だから、我慢が必要です。大変なこと、つらいこと、挫折しそうになることもあるでしょう。だけど、君たちには夢と目標を持って、一歩一歩立ち向かう勇気と努力で頑張ってほしい。おばさんは、君たちみんながダイヤモンドの原石と思っています。そして、いつか光り輝く時、その時が必ず来ると思います。ケガに気を付けて、元気でね。国立競技場への道は覚えましたから、招待してくださいってね。

T:子供たちの顔や名前も覚えているんですか?

H:チームが顔写真と名簿をくれるの。今は外で会えば、誰でもあいさつするよ。子供たちでも試合に行ける子と、行けない子がいるわけよ。行ける子は金曜日からバスで行くのね。だから、うちのお父さんにも『どうだった』って触れちゃダメよって。そういう追い打ちかけたりしたらね。いいことならいいけど。そういう時は知らん顔している方がね。選手たちはもっと落ち込んでいるんだからさ。『あの時、何で』っていう悔いは選手たちの方があるし、すごく反省していると思うし。私らがどうこう言ったって、何も分からないんだし。負けて慰めるよりは、勝ったときに一緒に喜んで上げた方がいいしね。負けた時は当たらず触らず。みんなには、親は大変なんだよって言うの。練習着だの、靴だの、GKの手袋だのお金がいくらかかると思ってるのって。親孝行しなきゃね、横道にそれちゃダメだよって。

T:チームに望むことは?

H:プロになった以上は、1つでも2つでも順位が上に上がってほしいわよね。もう、いつお店を止めようか悩んでいるけど、お店をやっている間に、優勝という2文字を聞かせてほしい。ナビスコ杯に優勝した時だって、100円引きにしたよ。だから、リーグ優勝したら、半額くらいに出血サービスにしてね。もう遠くに行っちゃってる感じだけれども、とにかくお店をやっている間に、サポーターのみんなに、いやサポーターに限らず、FC東京のファンになってもらうように、出血サービスをできる日を待ってる。勝ってほしいわよね。

 

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