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【芸能・社会】

大反響 ドキュメンタリー映画「『知事抹殺』の真実」

2017年5月11日 紙面から

記者会見で辞職を表明し、報道陣に囲まれ県庁を出る福島県の佐藤栄佐久知事(中央)=2006年9月27日

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 ドキュメンタリー映画「『知事抹殺』の真実」(安孫子亘監督)が、東京・渋谷のミニシアター「アップリンク」で連日満員の反響を見せている。当初は、モーニングショーでの上映だったが、客足が絶えないためゴールデンウィーク中は1日2回から3回に増やして対応。5日までの限定公開の予定を19日まで延長、さらに再延長も検討中だ。

 作品は、有罪が確定した佐藤栄佐久・元福島県知事(77)が、収賄の疑いで逮捕・起訴されてから、最高裁で上告が棄却されるまでを描いた。逮捕当時から冤罪(えんざい)との声もあったが、映像では佐藤氏のインタビュー、関係者の証言、取り調べや公判の再現などで、ていねいに追っている。

 3年がかりで完成した昨年、佐藤氏の出身地の福島県郡山市で初めて行われた上映会では、1回では人が入りきらず、3回に増やしたが、それでも人があふれた。その後、名古屋、四日市、仙台などで上映され、先月22日に東京で公開された。

 アップリンクは、わずか58席だが、ネット予約で席が埋まり、当日券も売り切れで帰る人が続出。こうした現象は、「近年なかった」と石井雅之支配人。各地での上映会と合わせ、累計で1万人を動員、インディペンデントのドキュメンタリーとしては大ヒットだ。

 北海道出身の安孫子監督は、2011年の東日本大震災後、福島に移り住み、人々の生活に根差したドキュメンタリーを手掛けてきたが、社会派は今回が初めて。「あらためて事件を見直して、どこかおかしいぞと国民が少しでも分かっていただければ」と言いつつ、事件のことばかりではなく、「重要な局面にある今の世の中に、何か訴えるものがあるんじゃないか」という。終映後、「すべての国民に見てほしい」「今の日本に必要な映画だ」などと声をかけられることがしばしばで、手応えを感じるという。

 石井支配人は、「メディアや政府がすべて正しいと思って疑いを持たないことに、一つの指針になる。森友問題など、いろんなことに置き換えられるのでは」。

 知事時代の佐藤氏は、「うつくしま ふくしま」をスローガンに、地方創生に取り組む一方、原発については、東京電力、国の対応に不信感を募らせ、さまざまな注文をつける「闘う知事」として知られた。

 映画は海外の映画祭への出品も模索中で、佐藤氏は「私の事件がどういう中から生まれたのか。原発について、こんなことしてたら事故になるよと問題提起してた中で逮捕されて、現実に双葉町は死の町になってしまった。そういう状況を話したい」と明かした。

 「3・11の時、栄佐久さんが知事だったら、その後の県の出方や国の対応は大分違ったのではないか、とあらためて思いました。福島県民の多くが思うことだと思います」ともらした福島県出身の女性の言葉が印象的だった。 (本庄雅之)

 ◆事件メモ 2006年にダム工事をめぐる官製談合疑惑が持ち上がり、5期18年知事を務めた佐藤氏が道義的責任をとって辞任。その後、郡山三東スーツ社長の実弟とともに東京地検特捜部に逮捕された。「厳しい取り調べが支持者に及ばないよう虚偽の自白をした」が、公判では無罪を主張。東京高裁では、収賄額0円で有罪判決。最高裁に上告したが棄却され、懲役2年執行猶予4年の判決が確定。実弟が、取り調べの際、検事に「知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」と言われたと証言している。

 ◆上映会 映画館以外でも自由な形での自主上映会を募集している。問い合わせは、製作委員会(電)070(3524)2781。

 

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