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【コラム 私は見た!】

琴欧洲、正統派の美点

2009年9月15日

 琴欧洲には怪我、それも重傷と伝えられた場所に、無理をして出場したことがあった。それ以来、私は琴欧洲の相撲に疑問符をつけながら、見まもって来た。その疑問符が全く氷解したわけではない。しかし、次第に好意的に見ようとする態度に、私自身が押し切られそうなものを感じるようになった。いや、もっと正確にいおうとすれば、琴欧洲の相撲に一段の変化が訪れ、成長、脱皮することを期待し始めているといおうか。

 どんなところにそんな変化の原因があったかというと、やはり正統派の相撲を貫こうとする意欲が、相撲から感じとれるからだろうか。琴欧洲と旭天鵬の一番が、この力士の変化をよく見せていた。初日の稀勢の里戦では左を差して出る相撲だったが、旭天鵬戦では一転して左上手を取ると、一気に相手の体をねじり上げるような攻めを繰りひろげた。もともと抜群の身長に恵まれている力士だから、この真正面からの攻撃はかなりな威力を発揮する。正統派の美点がここで効果を上げていると見るべきだろう。

 五大関が競い合うという状況の中で、一段とぬきん出ることは、非常に困難を伴うものだろう。しかし、先場所で見せてくれたように、いつの間にか勝ちこんで来るという展開も、琴欧洲に備わっている特徴でもある。意欲的にそういう面を出すのも、そろそろ見せる時期ではなかろうか。

 把瑠都が日馬富士相手に、きめの細かい相撲を見せた。といっても、あの体だから大ざっぱな印象は残ってしまう。しかし、こういう勝ち方も続けて行けば、発展的な変化につながるのではなかろうか。とに角、日馬富士相手に相撲にさせなかったのだから大したものだといえよう。

 日馬富士の方からこの一番を見ると、巨漢には滅多に見られないおっつけ主体の攻めに、してやられたというところだろう。だが、日馬富士には十五日間の中に、必ずこうした不注意な一番を見せる欠陥がある。

 この一番でも、把瑠都の左からのおっつけをなめてかかったようなところがあった。巨漢だから攻めにも雑なところがあると考えるのは、それこそ雑な見切りだというべきだろう。 (作家)

 

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