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特報とやま

世界一Xmasツリー 新たなひのき舞台

(左)クリスマスツリーとして神戸港に運び込まれた高さ約30メートルの巨木=2017年11月17日、神戸市中央区で(右)アスナロの木で建立された鳥居=同区の生田神社で(そら植物園提供)

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 昨年のクリスマスに神戸市内であったプロジェクト「世界一のクリスマスツリー」のために、富山県氷見市一刎(ひとはね)から切り出された「アスナロの木」。樹齢150年、高さ30メートルの巨木の“晴れ姿”を地元も歓迎、活動を支援して送り出したが、役目を終えた後の利用を巡って物議を醸す騒動に発展した。あれから1年。木はその後、どうなったのか。(向川原悠吾)

氷見で切り出し神戸設置

物議の末、鳥居と伝馬船に再生

 今月八日、神戸市中央区の生田神社で、真新しい鳥居と和船「伝馬船」が披露された。材料はアスナロの木。鳥居は高さ二・七メートル、幅三・三メートル。神社から「鳥居にできないか」と利用の提案が、プロジェクトの中心を担った株式会社「そら植物園」(兵庫県川西市)にあったという。

 伝馬船は、かつて氷見市内で使われていた。今回の船は全長約三・四メートル、幅一・一メートル。子ども二、三人は乗ることができる。神戸と氷見の懸け橋になる木の利用を考える中で、氷見市唯一の船大工として知られる番匠光昭さん(72)に、同社が制作を依頼した。番匠さんは、春ごろに話があり「氷見と神戸のつながりになれるのなら」と引き受けた。番匠さんは「水に浮かべたところに乗って楽しんでほしい」と希望する。

アスナロの木で造られた伝馬船。船の中にあるのは、加工された球状の装飾品(そら植物園提供)

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 船は「そら植物園」が所有し、イベントなどで貸し出していく。さらに、残りの木をまな板や直径三センチほどの球状の装飾品に加工。端材は出たが「使えるところは使った」という。

 クリスマスツリーのプロジェクトは、神戸市なども入る実行委が阪神大震災の復興をうたい、開港百五十周年に合わせて神戸港に立てることを計画。同社が氷見市の山中で巨木を見つけた。市内では市民応援団もでき昨年十一月に送り出し式を開いて見送った。

 ところが、インターネット上を中心に批判が噴出。「木がかわいそう」「人間のエゴで木が刈られた」といった声が飛び交った。一部は鳥居にして生田神社に奉納すると発表したが、それ以外の使い方が決まっていなかったため、さらに批判を招き、中止を求める署名運動も起きた。

 思わぬ運命をたどることになった「アスナロの木」だが、実は種類は全く異なる木だ。アスナロに詳しい石川県農林総合研究センター林業試験場の千木容(せんぎよう)主任研究員によると、富山、石川両県内に生えておらず、ツリーになったのはアスナロに似たヒノキアスナロ。アスナロは木材としてあまり使われないが、ヒノキアスナロは高級木材になる。

 千木主任研究員もプロジェクトを知った際、その後どうなるのか心配していた。三十メートルのヒノキアスナロからは一・八立方メートルの材木が使え「伝馬船と鳥居は妥当な大きさでしっかり使ってくれた」と安心した様子。「神戸で植え替えるとか、むちゃなことも言われていたが、その後が決まったなら良かったし、良い木材なので端材も全部使ってもらえたら」と語る。

 

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