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米騒動100年(下) 学生の叫び 世間動かす

安保関連法案反対を訴える人たち=2015年9月18日、国会前で

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法案不信 反対運動が拡大

 「民主主義ってなんだ」。二〇一五年夏、集団的自衛権を認める安全保障関連法案を強行採決する与党に反対して学生団体のSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)のメンバーが叫んでいた。その熱さに引かれて、学生たちを記録したドキュメンタリー映画「わたしの自由について」(二時間四十五分)を製作したのが富山市出身の映画監督、西原孝至さん(34)だ。

 SEALDsと出会ったのはその年の五月。安保法案が閣議決定され、国会前でデモをしている学生がいると知り、駆け付けた。

 印象は「なんら変わらない普通の学生」。ただ、政治と向き合う姿や熱意に打たれた。「この光景は残さないと」。当初、映画を作る予定がなかったが、カメラを回し続けた。

 法案への不信感や反対運動は次第に広まり連日、国会前を人が埋め尽くした。

 「政治に無関心といわれてきた世代が世間を動かした歴史的な瞬間だった」。西原さんは、今回の動きに米騒動との共通点を感じている。

学生たちの抗議デモを撮影した映画監督の西原孝至さん=東京都内で

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 一九一八年八月、米騒動は富山県内から全国に拡散した。米価が上昇し、その月に断行されたシベリア出兵が高騰に拍車をかけた。寺内正毅内閣は対応が後手に回り、言論統制や軍隊で民衆を鎮圧しようとしたため批判を招き、総辞職に追い込まれた。後の原敬内閣では初めて政党政治が生まれ、選挙権も拡大された。

 「問題意識を共有することで行動につながる。世間を変える政治の主役はいつでも民衆でなければならない。それが民主主義だ」

 安保法案の反対デモは全国に広まり、合わせて約百三十万人が参加したと言われている。廃案のために民衆が結集し、西原さんが言う「民主主義的な行動」だった。

 採決は強行され、安保法は成立。内閣を退陣に追い込んだ米騒動とは結果は違ったが、「現代の日本人が政治に向き合えるきっかけになれた」と意義を語る。

 映画の中でたびたび出てきた場面がある。SEALDsのリーダー奥田愛基さんが「民主主義って何だ」と叫ぶと、デモの参加者は「これだ」と声を張り上げる。

 「米騒動が民衆の生きざまとして歴史に残ったように、安保法のデモも民主主義の歴史に残るだろう。日本の若者が民主主義を体現していた。自分の作品も米騒動のように未来に残る作品になってくれたら」。西原さんはそう願っている。 (向川原悠吾)

 

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