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特報とやま

世紀末 富山の平均気温+5度!?

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 80年後の21世紀末、富山県の年平均気温は約5度上昇する−。富山地方気象台は5月、衝撃的な予測を公表した。全国の年平均気温の上昇は4.5度と推定されているが、富山県内の暮らしや自然環境はどう変わるのか。専門家に尋ねると、大きな転換を迫られる可能性が浮かんできた。(山本真士)

熱中症死亡率↑

 今年は七月の猛暑で急増している熱中症。富山大の奥寺敬教授(危機管理医学)は「予測通りなら、熱中症による人口当たりの死亡率は高まる。高齢者や乳幼児の発症リスクは高くなるだろう」と警告する。

 環境省によると、統計的には、気温が三〇度を超えて上昇していくと死亡率が高まる。真夏日や熱帯夜が多くなるほど、死亡数も増えることも分かっている。

 奥寺教授は「街路樹で日陰を増やすなど、都市デザインをよく考えるべきだ。熱中症の知識は学校で教える必要がある」とハード、ソフト両面の対策を訴える。暮らしには「沖縄やハワイなどの亜熱帯の衣服や住居をまねると、過ごしやすいだろう」と提案する。

稲作 新品種を

 富山県内の農業を代表する稲作への影響はどうか。農林水産省は、二〇六〇年代までに平均気温が三度上昇すると、東北以南で収量が8〜15%減ると報告している。

 県農業研究所育種課の小島洋一朗課長は「富山は暑さで品質が落ちやすいコシヒカリ中心。今のままでは厳しい」と話す。半面、研究所は暑さに強い「富富富」などの新品種を開発しており「品種や栽培の改良で対応できる」と強調する。「水田のダム機能は洪水や土砂崩れを防ぐ。水が蒸発するからヒートアイランドを抑制できる」と語り、稲作自体を対策に挙げる。

ライチョウ生息域激減

 生態系も変化は避けられない。「氷河期の生き残り」とされるニホンライチョウが受ける影響は特に大きい。長野県環境保全研究所の堀田昌伸・専門研究員は、研究の蓄積がある北アルプス中南部について「生息できる環境の面積は今の数%になる」と予測する。

 環境省は富山市ファミリーパークなどと連携して人工繁殖を進め、野生復帰を目指している。「温暖化を抑えなければ、人工的に繁殖させても、そもそも戻せる環境がなくなってしまう」と対策の必要性を説く。

最悪を想定、鹿児島並み予測

 気象台は温暖化対策が最も進む「最悪のシナリオ」で気候変動を予測した。予測では、今世紀末の富山市の年平均気温は今の14.1度から、鹿児島市並みの18.6度まで上昇する。気温上昇のペースは今の2倍超まで速まる。

 猛暑日は約40日増え、真夏日、夏日、熱帯夜はともに約60日増える。一方で冬日は約40日減り、ほとんど観測されなくなる。

 降水量も変わる。1時間に50ミリ以上の「滝のように降る雨」は年0.1回から0.4回に増加。逆に降水のない日は増え、災害や水不足のリスクが高まる。予測の前提となるデータは気象庁が昨春公表している。

 

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