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交番襲撃容疑者 陸自在籍2年 「拳銃訓練 機会ない」

元教官ら「格闘、ナイフは習熟」

 富山市の交番で警察官が拳銃を奪われて殺害され、小学校にいた警備員が撃たれて死亡した事件で、現行犯逮捕されたのは複数の刃物を所持した二十一歳の元自衛官だった。昨春まで陸上自衛隊に二年間在籍したが、拳銃も含めて、これらの凶器はその期間で扱えるようになるものなのか。(片山夏子、橋本誠)

 逮捕された島津慧大(けいた)容疑者(21)=富山県立山町=は二〇一五年三月に入隊し、金沢駐屯地の第一四普通科連隊に所属。昨年三月に任期満了で退官した。同六月から予備自衛官に採用され、今年四月からは、有事の際に自衛官と一線に赴く即応予備自衛官となった。

 地元の立山町は、広報誌で入隊前の激励会の様子を掲載。町長から「人を助ける誇りある仕事にまい進してほしい」とエールを送られていた。人口約二万六千人の町は自衛隊入隊者が目立って多いわけでもない。町によると入隊者は毎年二、三人ほどで、一五年はやや多かったが、それでも五人だった。

 島津容疑者はナイフやおのなどを所持して交番を襲い、警部補を殺害。警備員に対しては近距離から拳銃を発射したとみられる。

 陸自富士学校の元教官で愛知医科大非常勤講師の照井資規氏は「銃剣を使う格闘訓練があり、検定も受けなくてはならない。ナイフは使い慣れている」と説明。ただ、おのなどは「演習場の草刈りでなたは使うが、おのを使うことはない」と話す。

 元陸自レンジャー隊員の井筒高雄氏も「おのやダガーナイフを使うのは白兵戦の最後の状況で、陸自がそこまで想定しているとは考えにくい。拳銃の持ち弾を全部使ってしまうのはあり得ないし、銃を奪う訓練もしていない」。一方で最近の陸自の変化も挙げ「以前の格闘訓練は空手の寸止めのように形を決めてやるものだったが、近年はより実戦を想定したものに変わった。自分のダメージを抑えながら、効率的に殺傷することが求められている」と語る。

 少年自衛官の経験がある小川和久・静岡県立大特任教授は「普通科連隊の隊員は重い装備を持って走り回る戦闘訓練などをしているが、小銃の射撃訓練は二年で三、四回しかない。弾の数が限られているためで、射撃のプロではなく、『小銃を撃てます』というレベル」と説明。今回使われたのは銃身が短い拳銃だが「拳銃は幹部や特別な任務に当たる隊員が持つことはあるが、一般隊員は持たないし、訓練もない」と話し、自衛隊の訓練とは関係ない部分が影響した可能性を指摘する。

 照井氏も「入隊後の二年間で拳銃を撃つ機会はない上、肩と両手で支える小銃と違い、手元が動きやすい拳銃は二十倍の訓練が必要といわれる。警察の拳銃は自衛隊と違うこともあり、モデルガンで練習したり海外で撃ったりした経験がないと、使えないのでは」とみる。

業務を再開した奥田交番=1日、富山市久方町で(柘原由紀撮影)

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奥田交番 業務を再開

 富山市の交番で警察官が刺殺され、拳銃が奪われた現場となった富山中央署奥田交番(同市久方町)が一日、業務を再開した。二人だった勤務員を四人に倍増し、防弾チョッキなど護身装備を充実させ、近隣の交番やパトカーと連携して警戒を強化する。

 署員らが交番を覆っていたブルーシートや、交番前の規制線を取り除く作業を始め、午前十時には通常の業務に入った。

 富山中央署の船木隆広地域官は「地域住民や奥田小学校の児童、保護者ら学校関係の皆さんに早く安心していただくために業務を再開することにした。パトロールを強化して、安心していただけるように警戒していく」と取材に話した。

 近くの六十代女性は「事件自体は忘れてはいけないが、事件を引きずらずに今まで通り業務をしてほしい」、近くに住む六十代男性は「急いで通常に戻って防犯をなおざりにするのはいけない。内部体制を充実させてほしい」と話した。

 交番の前に置かれていた献花台は撤去され、献花は今後、交番で預かる。 (柘原由紀)

 

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