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来月、東海北陸道全通10年 暫定2車線 いつまで?

大勢の観光客でにぎわうひみ番屋街=富山県氷見市北大町で

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 富山、岐阜、愛知の三県を南北に結ぶ東海北陸自動車道が全線開通して七月五日で十年。車での移動時間が縮まり、人や物の往来が活発になりつつある。一方で、富山県内には片側一車線で対面通行の「暫定二車線区間」が残り、事故や通行止めのリスクは高いままだ。(山本真士)

観光、物流拡大 残るリスク

 六月上旬の週末、昼時を迎えて観光客でごった返す道の駅「ひみ番屋街」(富山県氷見市)。東海北陸道を使って訪れた愛知県豊田市の男性会社員(63)は、声を弾ませた。「家族で海鮮丼を食べに来た。愛知とは中身も量も違う」

 運営会社の担当者は「東海地方は日帰り圏内。気軽に来てもらえる」と開通の恩恵を実感している。二〇一四年の駐車場のナンバープレート調査では愛知、長野、岐阜、静岡、三重が県外客の三割を占めていた。

 東海北陸道経由の高速バスの利用も好調だ。富山駅発の「名古屋線」は一日十四往復を運行。〇四年の路線開設時の七倍に上る。一五年の北陸新幹線開業後は富山と名古屋を結ぶ特急が金沢止まりになり、乗り換えの不便さを避けた客が流れたことも追い風になったという。

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 物流も拡大している。国土交通省が行った貨物流動量の抽出調査によると、一五年に愛知、富山間を行き来した貨物の重量は、〇五年からの十年間で28・7%増加。愛知発、富山発ともほぼ同じ増加率だ。管理者の中日本高速道路は、開通から十年間に富山にもたらした経済波及効果を一・四兆円と試算している。

 東海北陸道を使い、東海地方へ進出する企業もある。北陸最大手のスーパー・アルビス(富山県射水市)は来年以降、岐阜の中濃、東濃へ出店する。業界では「生鮮食品の配送は三時間まで」が常識。両地域は本社隣の新加工センターから約三時間で届くエリアだ。

 経営企画室の担当者は「心配なのは、事故による片側一車線区間の通行止め。北陸自動車道を使った迂回(うかい)など、対応策を考えていかねば」と準備を進める。

 逃している商機もある。ひみ番屋街には年間百二十万人近くが訪れているが、市内の他の観光、商業施設の利用は伸び悩む。北陸の外から訪れた観光客は、県内を「休憩場所」「通過点」として利用しがち。市内を周遊せず、隣の石川県の有名観光地に向かってしまうケースが多いという。

 運営会社の担当者は「地元には温泉やまんがなどの観光資源があるが、認知度が低い」と打開策を練る。

暫定2車線区間を行き交うトラックや乗用車=富山県南砺市立野原で

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死亡事故は2倍 4車線化高い壁

 富山県内の東海北陸道は全て暫定2車線。交通量が一定水準に届かず、全線4車線化の道のりは険しい。中央分離帯がない暫定2車線は死亡事故の発生率が「4車線以上」の2倍とされる。南砺市の東海北陸道下り線で3日、観光バスがセンターポールを倒して対向車線にはみ出す事故が起きた。事故や工事による通行止めも頻発している。

 中日本高速道路は県内区間33キロのうち、速度低下や事故多発の傾向がある10キロに追い越し用の付加車線を設け、部分的に4車線化している。残る実質2車線区間は20キロ余。一方、岐阜県側では飛騨清見インターチェンジ以南の4車線化が本年度中に完了する。

 拡幅の費用は料金収入で賄うのが原則。富山県によると、4車線化には少なくとも1日平均1万台の通行が必要とされるが、9000台を超えられていない。

 

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