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獣肉処理 ジビエで解決 富山に県内初の専門施設

富山県内初となるジビエ専門の処理施設を造った石黒木太郎さん=富山市八尾町で(山中正義撮影)

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 獣害対策で捕獲したイノシシなどの肉をジビエとして有効活用する動きが富山県内で、なかなか広まらない。捕獲や処理の方法によって肉質が劣化する難しさや、処理施設の少なさが背景にある。この課題に立ち向かおうと、富山市八尾町中島の石黒木太郎(もくたろう)さん(26)が、市の山間部に県内初のジビエ専門食肉処理施設「大長谷ハンターズジビエ」を開設。ジビエの魅力を発信しようと奮闘している。(山中正義)

品質管理に苦心 上質な肉 届ける

 石黒さんが施設をオープンしたのは二〇一六年十一月。地元の納屋を譲り受け、自ら改修した。イノシシやシカ、クマ肉を扱い、県内外のイタリア料理店などに出荷している。イノシシは一七年度、約五十頭を処理した。

 幼い頃からジビエに親しみ、食べることも好きだった。地元の猟師が減る中、「あんにゃも鉄砲やってみんか」と誘われ、二十三歳で狩猟の免許を取得した。

 販売するつもりはなかったが、自分だけでは食べきれない上、販売を求める声も寄せられるようになった。縁あって京都で処理施設を見学し、「自分でもつくれる」と決意。知人らに厨房(ちゅうぼう)の流し台などを譲り受け、完成させた。

 富山県は一二年度から獣肉の活用を促すため、処理施設の整備にかかる費用の三分の一(上限百万円)を補助している。石黒さんもこの制度を活用した。県内の処理施設は現在、五カ所あり、そのうち四施設が補助を受け、施設数は少しずつ増えている。

 だが、一七年度に全施設で処理したイノシシは、捕獲した約五千頭に対し百七頭にとどまった。石黒さんは「(施設は)まだ足りない。それに場所が山から遠い」と課題を挙げる。イノシシは仕留めてから一分でも早く血抜きや内臓摘出などの処理を施すことが品質確保につながる。「最初の処理で味が変わる。猟場から近いのが最重要」と語り、捕獲場付近に一時処理施設を設けることも対応策の一つと提案する。

 肉質の管理や処理の難しさ、高価格など課題が多いイノシシ肉。一方で、高タンパクで低脂肪、低カロリー、ビタミンB群も多く健康的といった良い面も。

 「おいしくないものを食べたら、また食べたいとは思わない」と石黒さん。「僕らは最初から食べるために捕っている。品質を上げるために真剣に取り組まないといけない」。獣害駆除でも、食用としての活用を見据えた捕獲方法や処理方法の実践が求められる。

イノシシ捕獲 最多5000頭超え

 二〇一七年度に富山県内で捕獲されたイノシシは初めて五千頭を超え、過去最多になる見通しになった。捕獲者の増加に加え、生息数自体が増えている可能性もある。

 農作物などへの有害捕獲と狩猟捕獲を合わせて五千二百四十七頭(速報値)で、内訳は有害が四千百二十一頭、狩猟が千百二十六頭。一六年度は計四千三百六十頭だった。

 県は一五年度末に、生息数を約五千頭と推定していたが、実態は分からない。農作物への被害は深刻化しており、一七年度の被害額は過去最高の七千二百五十万円を記録した。

 

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