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特報とやま

愛されるクラブへ挑む

残留を決めた入れ替え戦で声援を送る富山グラウジーズのファン=5月27日、横浜アリーナで(柘原由紀撮影)

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 Jリーグ発足から二十五年。スポーツで地域振興を目指すバスケットボール、サッカー、野球の富山県内各プロチームは始動から十年以上がたつ。各チームは地域に根差した活動で貢献する一方、集客などで難しさにも直面。プロバスケットボールBリーグ1部残留で今季を終えた富山グラウジーズを中心に、シーズン中のサッカーJ3のカターレ富山、プロ野球・ルートインBCリーグの富山サンダーバーズの現状と課題を探る。(柘原由紀)

グラウジーズ 集客10%増、SNSファン数5位

 横浜アリーナ(横浜市)で先月二十七日にあった1、2部の入れ替え戦。富山グラウジーズの応援席を、真っ赤なTシャツ姿のブースター(ファン)が埋め尽くした。「トヤーマ、グラウジーズ」。一体で声援を送り、勝利を後押しした。

 富山は二〇一七〜一八シーズンで二十四勝三十六敗と十八チーム中十五位と低迷。入れ替え戦に回ったが、ブースターは満足げだ。富山県立山町から観戦に訪れた会社員早川瑞穂さん(31)は、二年前から試合に足を運ぶ。「応援が楽しく、ファンサービスがうれしい」。Tシャツには宇都直輝選手の直筆サイン。リーグの「イケメン選手賞」に選ばれるほど、女性ファンの人気は高い。今季、入場者数は一試合平均二千七百三十一人でB1十位。ホームアリーナの富山市総合体育館で大型ビジョンや照明を使った演出を施し、専属ダンスチームがハーフタイムショーを披露する。娯楽性を前面に出す手法で、前季比10%増を達成した。

 リーグ全体で力を入れる会員制交流サイト(SNS)のファン数も約九万三千人で五位と健闘。広報の横山亜希恵さんは「試合では見られない選手の姿をブースターに見てもらえるよう気を付けている」と話す。

 ただ、課題も多い。昨季の営業収入は十八チーム中最下位の三億三千八百万円で、スポンサー収入の低さが目立つ。富山のような旧bjチームは、旧NBL勢と比べて潤沢な資金を持たず、戦力差に直結する。また、入場者数は増えているとはいえ、リーグが基準とする一試合平均三千人には届いていない。

 クラブは〇五年に北陸初のプロスポーツチームとして誕生。成績、営業の両面でもう一段上の成長が欠かせない。

カターレ J3降格後、平均1000人減

 カターレ富山の入場者数は二〇一五年にサッカーJ3へ降格すると、一試合平均で前年よりも千四百人も減った。

 富山大人間発達科学部の神野賢治講師(スポーツ社会学)の調査によると、クラブは年二百五十回以上のホームタウン活動を行い、理想とする「地域に愛されるクラブ」を目指す。ただ、活動が集客につながっているかは不明。観戦者の平均年齢は四五・四歳で、男性が六割。新たなファン層の獲得が不可欠だ。

サンダーバーズ 開幕前にPR作戦

 富山サンダーバーズも、開幕前に富山駅などで選手や監督がチラシを配る活動などに取り組む。しかし、〇七年のリーグ初年度には二千人を超えた平均入場者数は、六百人程度にまで減った。広報担当者は「メディアへの選手の露出を増やし、直接PRしたい」と課題を語る。

感動体験の提供 重要

<富山大人間発達科学部の神野賢治講師(スポーツ社会学)の話>

観客増には、地元クラブとして愛着を持てるようなサービスや感動体験を提供できるかが重要。富山グラウジーズは感動的な演出で観戦を価値あるものにしている。地域を好きになったり、観戦者同士のコミュニティーができてつながりが生まれたりする「社会統合機能」などプロスポーツには多くの効果がある。富山は北陸でもいち早くプロスポーツが立ち上がり成功や失敗体験が豊富。課題をクラブ同士で共有する組織をつくり、普及のための取り組みが必要だ。

 

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