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温暖化 咲いた「黄」信号 チューリップ「花持ちに影響」

良質な球根を収穫するための花摘み作業。今年は昨年より1週間早かった=17日、富山県砺波市で

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 ミカン、リンゴ、コシヒカリ…。温暖化の影響が懸念される農作物は数々あるが、チューリップも例外ではない。国内最大の球根産地・富山の生産者でつくる富山県花卉(かき)球根農業協同組合の清都(きよと)和文組合長(63)は警戒する。「開花が早まり、花持ちが悪くなる。温暖化はボディーブローのように効いてくる」(山森保)

県の球根生産者ら警戒

 富山地方気象台は今月五日に富山市内でチューリップの開花を発表した。平年より十日早かった。今年は、三月中旬から一気に気温が上昇し、その後、寒の戻りでひと息ついた。県内の開花状況も、全体として昨年より一週間ほど早く推移している。

 「チューリップは気温の変化に敏感な植物」。清都組合長はそう説明する。球根作り四十年のベテランで、切り花生産も手掛ける。一番の懸念は「露地植えでも、鉢植えでも、花持ちが悪いと消費に影響する」。長く彩りを保つ別の花が選ばれかねないからだ。

 開花後も最高気温が二〇度ほどの日が続けば、二週間以上にわたって楽しめる。ところが、今年のように五月を待たず三〇度近くまで上昇する日が数日続くと、すぐに満開になり、夜も気温が下がらなければ一週間ほどで終わってしまう。

 温暖化の影響は生産現場にも及ぶ。球根作りは開花後しばらくすると、栄養分が奪われないように花を摘み取り、球根を太らせる。これを六月に掘り起こして洗浄、消毒し、秋口に出荷するまで倉庫で貯蔵する。夏の貯蔵期間に高温にさらされると、球根が弱り、きれいな花が咲かなくなる。腐敗や病気も出やすい。

 同県砺波市の球根、切り花生産の大手センティアの伊藤仁嗣社長(39)は「先代の作業記録と比べて開花の早まりは感じるが、温暖化の影響はそれほどでもない」と話す。早手から中手、奥手と開花に約二週間の差があり、その年ごとの気温の影響は品種の構成で緩和されるからだ。

 ただ、高齢化につれて生産者が減る中、「効率化のため、品種を絞って多く作る傾向がある」。伊藤社長はそうも指摘する。一軒で二十品種ほど栽培していた二、三十年前と違って、多品種生産によるリスク分散は難しくなっている。

 県園芸研究所(砺波市)は生産者の声を受け、二〇一四年度から花持ちの長い品種の育種を続けているが、開花時期など高温の影響を受けにくい品種作りは未着手。しかも新品種を作るには二十年はかかる。

 富山の球根作りは百年の歴史があり、国内産はもともと平均気温が低いオランダ産を改良したもの。温暖化の影響は黄色信号が点灯し始めた段階だが、備えは早いに越したことはない。

 

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