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高岡市の財政難(下) 市政転換の好機に

初めての説明会で市民に説明する高橋正樹市長(右奥)=1月、富山県高岡市の戸出コミュニティセンターで(武田寛史撮影)

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 「大型事業が無計画に行われた結果だ」「五年間はボーナス返上を」。一月中旬、富山県高岡市戸出町であった財政再建と公共施設再編の市民説明会。市が財政難を公表後、初めて開いた対話の場は案の定、紛糾した。その後四カ所であった説明会でも同様に、市民は厳しい意見を寄せた。(山本真士)

 「『人件費を減らせ』なんて、一度も言われたことがない」

 ハコモノ行政改革の先駆けとして知られる神奈川県秦野市の志村高史・公共施設マネジメント課長は、高岡市の様子を伝え聞き、自身の経験との違いに驚いた。十年前、市内施設を長期的に三割減らす計画を上司と二人で作り、公表した。全国の市町村が国の要請で計画策定に取り組む前。人口も増えていた。

 それでも再編に踏み込んだのは、将来の人口減少と財政縮小を見越していたから。徹底した現地調査と情報開示にも努めた。「秦野市はもともと財政が厳しく、人口当たりの職員数が神奈川県内で最も少ない。それでも他市並みの行政サービスを目指してきた。市民が再編に怒らなかったのは、そうした姿勢を認めてくれていたからだと思う」

 志村さんは、高岡市の説明手順にも首をかしげる。「公共施設の再編は、人口減少や老朽化を受けた全国共通の問題だ。固有の問題である財政難とは別もの。一緒にすれば混乱を招く。別々に説明して理解を得た方が良い」と助言し、「施設面積を15%削減という高岡市の目標は甘い。借金を考慮すると、機能を維持していくには70%は減らさなければ」と分析する。

 財政難の背景にもさまざまな見方がある。北陸の地方自治に詳しい河村和徳・東北大准教授(政治学)は「北陸新幹線の開業に向けた大型投資が原因という見方は正確ではない」と指摘する。別の要因として挙げるのが、旧福岡町との合併や東海北陸自動車道の開通、高岡開町四百年だ。「ビッグプロジェクトが十年以上前から続いてきた。いわば四重苦だった」

 財政難の責任を巡っては「投資が行き過ぎ、維持費の見通しが甘かった。本来は議会が『ノー』と言うべきだった」と指摘する一方、「高岡市の直近の百年では最も投資に適した時期だった。『いけいけどんどん』の雰囲気で反対しづらかった状況は理解できる」と同情する。東北、九州両新幹線の沿線自治体でも過去に見られた状況という。

 財政の先行きについて、武田公子・金沢大教授(地方財政論)は、悲観論に異を唱える。「これから四〜五年間は市債の償還がピーク。市債発行に国や県の許可が必要になる起債許可団体に転落する可能性もある。けれど起債を抑えれば、その後は持ち直せる」

 この見方に河村准教授も同調する。「例えるなら、今は致命傷になる前に止血できた状況だ。高岡は産業があり、一定の税収がある。市政を方針転換させるチャンスでもある。財政難をきっかけに、これから官民で『脱公共事業』『ハードよりソフト重視』を目指すべきだ」 

 

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