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高岡市の財政難(上) 過剰投資 監視甘く

休館を案内する看板が置かれている高岡市民会館=富山県高岡市古城で(武田寛史撮影)

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 富山県第二の都市・高岡市で昨年、突如浮上した財政難。事業廃止や施設の休館が相次ぎ、市民生活に大きな影響が出ている。何が背景にあり、どう乗り越えるべきなのか。経緯を振り返り、有識者に提言を聞く。

 合唱コンクールや映画鑑賞会の案内が掲げられてきた玄関に、休館を伝える看板が立てられている。市民に長年親しまれた文化の拠点「高岡市民会館」。一月から無期限の休館に入った。楽器を奏でる音や来館者の話し声は消え、ひっそりと静まり返っている。

 ロビーで無料コンサートを長年開いてきた団体「パープル」代表の小林福美さん(68)は昨年十二月、休館を知り、あぜんとした。「昨日まで問題なく使えていたのに」。今年に予定していた二百回目の記念コンサートは高岡市民会館では開けなくなった。

 事実上の閉鎖の背景には市の財政難がある。休館は元々、天井の改修のためで、半年余りにとどまるはずだった。ところが、老朽化した電気設備も修理が必要と判明。市は四億円の追加費用を捻出できず、改修を断念した。

 財政難は、近年の大型事業のつけが回ってきた結果だった。市は主な例として、二百五十四億円を費やした北陸新幹線新高岡駅と高岡駅の周辺整備や、百八十二億円を投じて一気に推し進めた小中学校の耐震化などを挙げる。高橋正樹市長は「身の丈を超えていた」と過剰投資を認める。

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 歳出超過は二〇一六年度決算が二十五億円、一七年度予算が三十四億円。市債残高は過去十年間で約三百億円増えた。帳尻を合わせるため、貯金にあたる財政調整基金を取り崩し続け、基金は底を尽きかけている。借金返済の大きさを示す実質公債費比率は、二年連続で県内ワーストだ。

 一八年度予算での四十億円の財源不足を認識した時期について、高橋市長は昨秋と説明する。昨年六月の市長選で三選し、財政を熟知しているはずが、認識と対策が遅れて影響は一気に噴出した。新総合体育館の建設の凍結は、市民会館の休館と同時に発表された。東京五輪の海外代表合宿の誘致の切り札だったが、七十億円超を投じる余裕はなかった。市職員は「今となれば工事の入札が不調で助かった」と漏らす。

 中心市街地のコミュニティバスも廃止した。「空気を運ぶ」と冷やかされるほど利用が低迷し、十年近く前に廃止論が浮上したが、市は運行を続けた。担当者は「市民に配慮し、廃止に踏み切れなかった」と反省する。赤字は毎年、四千七百万円に上っていた。

 市政の監視を託されていた市議会は機能を果たせず、甘い財政運営を認めた。ある市議は「一六年度決算で財政の厳しさを感じていた」と振り返るが、財政難の公表まで市を追及することはなかった。別の市議は市に対して「財政健全化の対策は毎年、市民に説明すべきだ」と注文を付ける。だが、財政難公表から四カ月がたつ今も、議会による報告会は開かれていない。

 市は緊急対策を講じ、一八年度予算で八億円の収支を改善した。しかし、近く事業の見直しを始める一九年度の予算では、さらに八億円の改善が求められる。財政再建へ、厳しい道のりが続く。 (武田寛史)

 

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