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震災教訓 生かされぬまま ペット同行避難 自治体対応遅れ

同行避難の訓練で、ケージに入るペット=昨年9月、富山市で(富山県提供)

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 災害時のペットを連れた避難対策が遅れている。国はペットと逃げる「同行避難」を飼い主の安全を前提に推奨する。自治体向けに避難所でのペット用スペースの確保などを求めるガイドラインを作ったが、生かされていないのが実情だ。(山中正義)

訓練、態勢づくり 課題

 昨年九月の富山市新庄小学校の校庭。テントが張られ、中にはペット用のケージがずらりと並んだ。同行避難を想定した富山県の訓練だ。飼い主とペットの犬二十一組が次々と自宅から避難してきた。到着すると、ワクチンの接種歴やけがの有無などを確認し、犬はケージに収容された。

 ただ県内で、こうした訓練に取り組んだことがある自治体は少数にとどまる。

 環境省によると、東日本大震災では福島県だけでも約二千五百匹の犬が死んだ。ペットは被災者の癒やしになる一方、避難所で鳴き声やアレルギーなどのトラブルも起きた。

 ペットの惨状を目の当たりにし、震災直後から被災動物を保護する福島市の「NPO法人 SORAアニマルシェルター」の二階堂利枝代表理事(46)は「一緒に避難しないなら、ペットは飼わない方がいい」と飼い主の無責任さに憤る。

 問題を受け、同省は二〇一三年、自治体向けに同行避難のガイドラインを作成した。だが、担当者は「対策はなかなか進んでない。各地の災害を見ると、市町村での対策が足りていない」と嘆く。

 人と動物の関係学に詳しい九州保健福祉大の加藤謙介准教授も「阪神大震災から言われ、先例があるのに被災地を越えて知恵が伝わっていない。災害が起きるたびに、初めて起きたような対応になっている」と批判する。

 富山県高岡市の動物愛護団体「NPO法人 ピース・アニマルズ・ホーム」の世話役宮腰千景さんは、避難所の受け入れ以前に「ペットの実態把握が遅れている。どれだけ避難所やケージ、費用が必要か分からない」と指摘する。その上で、災害に備えて自治体によるケージなどの備蓄を義務化するよう国に求める。

 一方、熊本地震の被災地では、ペットを自宅の敷地につないで避難した人も多かったという。熊本県健康危機管理課の担当者は「必ずしもペットを連れて出る必要はない。地域性や災害規模などから判断し、動物と被災者に良い方法を考えて」と呼び掛ける。

県 マニュアル策定

 富山県は昨年十二月、避難所にペットの飼育場所を確保する際の注意点などを示した「県動物同行避難所等運営マニュアル」を策定した。避難所の設置主体となる市町村向けで、同行避難者の受け入れ整備に役立つ。

 マニュアルは、飼育場所を「避難者の居室と隔離した場所」などと注意点を明記。屋外に設置する場合は施設の入り口などを避け、テントを設置できるような場所を薦めている。

 ただ、県生活衛生課によると、ペットと一緒に逃げてきた人を対象にした避難所運営マニュアルを作ったり、具体的な受け入れ場所を決めたりしている県内の市町村は、昨春段階ではゼロ。同課の担当者は「今後の防災計画にマニュアルを生かしてほしい」と期待する。飼い主にも、餌の備蓄やしつけを呼び掛ける。

 石川、福井県は同様のマニュアルは作っていない。

 同行避難 災害時に飼い主がペットと一緒に避難場所まで安全に避難すること。避難所における飼い主とペットの同居を意味するものではない。 

 

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