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中古住宅診断の説明義務化 消費者保護 大きな前進

中谷元秋さん

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高岡の建築士・中谷さんに聞く

 中古住宅への不安を解消して売買を促そうと、今月から中古住宅の取引で、不動産業者に「住宅診断(ホームインスペクション)」の説明などが義務付けられた。富山、石川両県で数多く住宅診断を手掛けてきた富山県高岡市の一級建築士中谷元秋さん(64)は本紙の取材に「今はまず第一歩。でも、これまで情報開示を一切していなかったので消費者保護の意味で大きな前進だ」と今回の改正の意義を強調した。(鈴木宏征)

「第三者性の確保 大事」

 中谷さんは、マンションなどの耐震偽装が二〇〇五年秋に発覚し、世を騒がせた「姉歯事件」のころ、欠陥住宅問題に取り組む「建築Gメンの会」に入る。その後、十年ほど前に住宅診断を始めた。依頼された建物の小屋裏や床下に入って裏側まで全て丹念にチェックし、補修が必要な箇所も指摘するという。

 「住宅診断では『第三者性』がすごく大事」。言い換えれば、売り主とは全く利害関係がない住宅診断士を選ぶべきだということ。売り主に何らかの関係がある診断士では、欠陥を隠される恐れがあるからだ。

住宅内を丹念にチェックする診断風景=富山県内で(中谷さん提供)

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 中谷さんによると、日本の建築業界では生き抜くために目先の利益を優先し、手抜き工事をする業者も少なくない。それが欠陥住宅につながってしまう。

 国によって住宅に対する考え方も大きく異なる。日本では、税法上の耐用年数が過ぎると建物に価値がないとされる。消費者も「建物は素人だから分からない」と業者の言いなりになる傾向が強い。一方、住宅の買い替えが盛んな米国では「住宅を買った瞬間から次に売ることを考える」(中谷さん)といい、建物の質を見極める目も厳しい。

 そのため、米国では州によって異なるものの、取引全体の七〜九割で住宅診断が行われるという。対照的に、住宅診断があまり知られていない日本、とりわけ新築志向が強い北陸地方では、今回の改正を機に認知度を高める必要がある。

 「不安」「汚い」「選ぶための情報が少ない」。こうした中古住宅のマイナスイメージを払拭(ふっしょく)しようと、国が今月新たに始めたのが「安心R住宅」制度。

 Rはリユース・再利用、リフォーム・改装、リノベーション・改修を意味する。「耐震性がある」「リフォーム工事済み」「情報を十分に開示」など、国土交通省に登録した団体の基準を満たした物件にロゴマークを付けて販売できる。

 中谷さんは「今後、住宅診断をするのが当たり前になっていくべきだと思う。そうなれば安心して住宅が買えるようになる」と期待を寄せている。

 住宅診断の説明義務化 宅地建物取引業法の改正により、4月から中古住宅の取引では、不動産業者が買い手や売り主と「媒介契約」を結ぶ際、住宅診断について説明し、診断業者のあっせんが可能かどうかを示すことや、買い手への「重要事項説明」の中で診断の有無や結果を説明することが義務付けられた。住宅診断自体が義務化されたわけではなく、買い手は正式な契約を結ぶ前に診断を受ける方が安心といえる。住宅診断の所要時間と費用は調査内容によって異なるが、4LDKの一戸建てで基本的な調査なら数時間で5万〜10万円程度。

BBT新コーナー「深掘りTOYAMA」きょうスタート

本紙・中島局次長が解説

 富山テレビ放送「プライムニュース BBTチャンネル8」(平日午後四時半から)の毎週水曜日午後六時台の新コーナー「中島流!深掘りTOYAMA」が四日始まり、中日新聞北陸本社の中島健二編集局次長(富山県朝日町出身)が暮らしに密着した経済情報やニュースを解説します。

 初回のテーマは「住まいの最新動向」。今月始まった中古住宅取引での「住宅診断」の説明義務化や「安心R住宅」のほか、自分らしい住まいを手に入れる中古住宅の最新リフォーム事情などを取り上げます。

 

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