トップ > 富山 > 特報とやま > 記事

ここから本文

特報とやま

姿消す メルヘン建築 小矢部の公共施設 少子化、老朽化…再利用難しく

メルヘン建築の大谷中。手前は体育館。市は4中学校を1校に統廃合する方針だ=富山県小矢部市内で(山森保撮影)

写真

 国内外の有名建築を模した富山県小矢部市の公共施設「メルヘン建築」が、二〇一八年度から徐々に姿を消すことになりそうだ。背景にあるのは老朽化、少子化、公共施設削減による行財政改革の三つ。学校や公民館、武道館など一九七〇、八〇年代を中心に建設された三十五棟のうち、八月に幼稚園一棟が取り壊され、さらに二年後に新設される二つのこども園に統合する保育所五棟もほとんどが解体される見通しだ。(山森保)

 解体される築四十年の石動幼稚園は、長野県松本市にある明治初期の洋風校舎・開智小学校がモデル。園児数の減少に伴い、今月末に閉園する。こども園に統合される保育所は東京国立近代美術館工芸館や東大安田講堂、長崎市の大浦天主堂などをモデルにしている。

 市民の間では「立派な建物でもったいない」という声が少なくない。石動幼稚園の跡地は市の駐車場にいち早く決まったのに対し、保育所は未定のまま。市は「解体、売却を基本に地元との話し合いにも応じる」とする。

 ただし、自治会や民間企業の再利用は難しい。トイレなどの改修に加え、一施設あたり年間百万円近い維持費、さらに一千万円以上とされる解体費が将来必要になる。関心を寄せる市内の企業が数社、公民館として再利用を唱える自治会役員もいるが、今のところ具体的な動きはない。

 メルヘン建築の代表格の小中学校にも厳しい現実が待ち構える。市は昨春、生産年齢人口(十五〜六十四歳)が三割減になる三十年後を見据え、公共施設の床面積を二割以上削減、現在の五小学校(メルヘン建築二校)を三〜四校に、四中学校(同三校)を一校に減らす計画を策定。五月をめどに小中学校統廃合審議会を発足させ、遅くとも一九年度中に方針を打ち出す。

 平成の大合併で単独市制を選択した市は、人口減や財政難への危機感が強い。メルヘン建築に詳しい元市部長は「学校など大規模になるほど再利用が難しい」と話す。老朽化とともに一定の役割を終え、公共施設の再編の中で取り壊しが進むことは避けられないとの見方だ。

 桜井森夫市長は「メルヘン建築がすぐになくなるわけではない」と前置きし、「できるなら残したいが…。地域の皆さんと相談させていただく」と苦渋の表情。ただ、保育所の保存の要望はないといい、「住民も市の事情は分かっているようだ」と付け加えた。

(左)園児数の減少で閉園、今夏解体される石動幼稚園(中)新設のこども園に統合される荒川保育所と(右)北蟹谷保育所=いずれも富山県小矢部市内で(山森保撮影)

写真

 メルヘン建築 旧北陸地方建設局長から転身、1級建築士だった故松本正雄市長(在任1972〜86年)が推進。76年から92年まで建設され、その後、通常より1、2割高とされる建設コストなどを理由にストップした。週刊誌などにたびたび取り上げられ、「ユニークな施策。小矢部市のPRになる」「税金の無駄遣い」と賛否両論を巻き起こした。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索