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空き家問題 対応急務に 代執行 県内すでに5件

雪の重みで倒壊した所有者不明の空き家=2月16日、富山県南砺市城端で(渡辺健太撮影)

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 核家族化や少子高齢化が進み、地方だけでなく都市部でも増え続ける空き家。「所有者が分からない」「維持管理が行き届かず危険」といった深刻な問題が横たわる。一方、解決に向けた動きもある。富山、石川の事例から、空き家の問題を考えてみたい。

 所有者が不明の空き家に行政が困惑している。二月、富山県南砺市城端の所有者不明の空き家が雪の重みで倒壊。安全確保のため、市が費用を肩代わりして撤去した。県内では他にも、未登記や相続放棄で所有者不明となった空き家が荒廃し、解体に公費が投入された事例がある。今後も人口減により、所有者が不明の空き家は増加するとみられ、対策が急務だ。

 二月半ば、町家が両側に立ち並ぶ南砺市城端地域の通り。木造二階建ての空き家の一部が雪の重みで倒壊し、道路側に傾いていた。窓ガラスは割れ、折れた木片は周囲に散乱。近くに住む男性は「ここは通学路だし危険。早く何とかして」と話した。

 市によると、空き家は織物工場の事務所として使われていたが、数十年前に所有者が死亡。相続が放棄されて以降、そのまま放置された状態が続く。以前から「瓦が落ちそう」などと近隣住民から苦情が相次いでいた。

 倒壊後、市は緊急安全措置として、六百四十八万円を予備費から充て、撤去した。二〇一八年度に専門家による調査を進める予定だが、所有者の特定や費用回収は難しい見込み。担当者は「本来は所有者がやるべきこと。財政負担は大きいが、安全確保のためには仕方ない」とため息をつく。市は同様の事態に備え、一八年度予算では予備費を増額した。

 県によると、一五年に空き家対策特別措置法が施行されて以降、建物の所有者が不明の場合に適用する「略式代執行」で解体されたのは県内で五件。代執行は通りに面しているなど住民の生活に危険を及ぼすと判断された空き家に限り、所有者不明は他にも数多く存在するとみられるが、詳細な数は不明。登記事項証明書(登記簿)情報だけでは相続人や所有者の把握が難しく、県の担当者は「調査には多大の時間と費用が必要。実態把握も難しい」と話す。 (渡辺健太)

所有不明 相続機に多発

 所有者が不明の空き家の問題は、不動産を相続した後に登記をしない「未登記」と、所有者死亡後に相続人が放棄する「相続放棄」が要因に挙げられる。

 法律上、相続後の登記は義務付けられていない。税金に加え、手続きに数十万円かかることもあるため、登記を意図的に無視する人もいる。所有者の死後、不動産に資産価値がないとみなして相続人全員が相続を放棄し、空き家が放置される例も多い。

 空き家問題に詳しい、富士通総研経済研究所の主席研究員米山秀隆さんは「人口減少で価値のない土地が増えており、今後も相続放棄は増える」とみる。危険な空き家を自治体が代執行で解体しても、費用を回収できないケースが増えることも懸念される。

 一方、参考になる事例がある。東京都世田谷区では昨年七月、所有者不明の空き家を近隣住民が買い取る意向を確認した後、区が民法に規定されている「不在者財産管理人制度」を利用して解体。更地を売却し、解体費などを回収した。

 米山さんは「市場価値がなくても住民にとっては価値がある場合がある。自治体の財政能力には限界があり、時代に合った対策を考えなければならない」と話している。 (渡辺健太)

 

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