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富山・政活費不正で初 県元副議長を書類送検

矢後肇元富山県議会副議長

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 富山県内で相次いだ地方議員による政務活動費の不正問題で、県警は八日、書籍代名目で政活費約三百七十万円をだまし取ったなどとして、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使などの容疑で県議会の矢後肇元副議長(58)=議員辞職=を書類送検した。捜査関係者によると、県警は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとみられる。

起訴求め厳重処分意見

 県内の地方議会で計十八人が議員辞職した一連の問題で、立件されたのは初。県警は矢後元副議長の認否を明らかにしていない。

 書類送検容疑は二〇一一〜一四年度の政活費を申請する際、実際は購入していない書籍を同県南砺市の書店で買ったように領収書や収支報告書を偽造し、五回に分けて政活費計約三百七十万円をだまし取った疑い。

 矢後元副議長は一〇〜一四年度の政活費で計約四百六十冊(計約四百六十万円分)の書籍代を架空計上していたことを認め、一六年七月に議員辞職。その後発覚した不正や利息分も合わせ、約五百六十万円を県に返還した。

 市民団体が詐欺容疑などで告発し、県警が捜査していた。一〇年度の政活費不正については、詐欺容疑の公訴時効が成立しているという。

 矢後元副議長は地銀勤務などを経て、〇三年の県議選で初当選。一六年三月から副議長を務め、不正が発覚した同七月当時は四期目だった。

発覚1年8カ月 なぜ長期化 

 最初に発覚した事件の捜査が、ようやく次の段階に移った。矢後肇元富山県議会副議長(58)が書類送検された政務活動費の不正問題。発覚から一年八カ月、刑事告発から一年六カ月。他に告発された元富山市議四人は、いまだ送検に至っていない。なぜ、これほどまで捜査に時間がかかっているのか−。 

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 「正直、捜査期間が長いと感じる。もっと早くできたのではないか」。矢後元県議を告発した市民団体「県平和運動センター」の山崎彰議長(67)は捜査の長期化に不満を漏らした。山崎議長らは二〇一六年九月、矢後元副議長を県警に告発。その後も県警本部を二回訪れ、早期の立件を求めていた。「県民の関心が高い問題なのに。感覚がずれていると思う」と話す。

 政活費を巡る県外の事件では、告発から書類送検までに要した時間にはばらつきがある。「号泣会見」で話題となった元兵庫県議の不正は、告発から約半年の「スピード捜査」だった。一方、同じく兵庫県警が手がけた元神戸市議三人の事件は一年二カ月以上がかかった。

 書類送検がこの時期までずれ込んだ原因の一つが、全国でも異例と言える不正の規模の大きさ。富山市議会では十四人が「ドミノ辞職」。市への政活費の返還総額は六千万円を超えた。請求に使われた領収書が架空や水増しだったと立証するため、県警は事情聴取や証拠収集を慎重に積み上げる必要があった。富山地検幹部も「それだけ捜査が必要だったのでは」と長期化の要因を推測する。

規模異例/ノウハウ少なく

 捜査のノウハウの不足も障壁になった。県内で政活費不正が事件になったのは今回が初めて。

 詐欺などの知能犯の検挙率は近年、六割を下回る年が多く、近隣県と比べ低い傾向にある。県警関係者は「二課(知能犯などを担当する部署)の事件はもともと弱い」と捜査力不足を認めていた。

 人手も足りなかった。警察官の定員が全国で九番目に少ない県警は、各署から署員を集めて捜査に当たった。しかし、同じ知能犯罪のニセ電話詐欺が多発。認知件数が年百件を超える社会問題への対応に人員を割かなければならず、「両面作戦」を強いられた。

 県内の政活費不正は全国的な関心を集めた。矢後元副議長への告発容疑の一部が時効に迫るなど、時間との闘いにもなっていた。関係者は「この問題はなんとかしなければ」と決死の覚悟で臨み、捜査に一区切りをつけた。 (酒井翔平、山本真士)

 

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