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アルペンルート 種の侵入次々 外来植物 根絶遠く

国内で初めて野生が確認されたコガネスゲ=富山県立山町の弥陀ケ原で(県中央植物園提供)

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 富山、長野両県を結ぶ山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」で、外来植物の繁殖が止まらない。ボランティアや行政による除去活動が続けられているが、年百万人規模の人の出入りに伴って次々と侵入する。最近も新たな種が見つかるなど、根絶には程遠いのが現状だ。(山本真士)

コガネスゲ 国内初の定着確認

 「この黄色の実は何だ」。富山県中央植物園(富山市)の大原隆明主任は、立山・弥陀ケ原に群生する野草に目を留めた。アルペンルートへ昨年九月、生息する種類を調べる「植物相調査」に訪れた。文献と突き合わせ、北米に分布する「コガネスゲ」と判明。国内初の野生定着例だった。

 スゲ属は在来種を含め、百種類以上が存在する。見た目が似ていて、種の特定は難しい場合が多い。大原主任は「特徴的な実がついた時季だったから気付いたけれど、別の時季だったら分からなかった。おそらく長年見過ごされてきたのだろう」と振り返る。

 産官学でつくる立山外来植物除去対策検討会は、外来植物六十二種をアルペンルート周辺の除去対象に指定している。繁殖力が強く、本来の環境への影響が大きいセイヨウタンポポやシロツメクサは重点対象だ。

 外来植物は入山者の靴や服、荷物、車のタイヤなどに種子を付着させて侵入し、開発工事などで在来種がいなくなった荒れた土地で勢力を広げたと考えられている。今回のコガネスゲが見つかった場所では、別のスゲの外来種が緑化資材に含まれ侵入したと一九九九年に報告されている。

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 侵入対策は、人と車への働き掛けが中心だ。国や県などは料金所などに放水装置を設置して入山する車のタイヤを洗い、駅・ターミナルに敷いたマットで入山者の靴底の付着物を除去。衣類や荷物に付着した種子は、入山前に払い落とすように呼び掛けている。

 対策をすり抜け、繁殖してしまった外来植物の除去は主にボランティア団体が担っている。県自然保護課によると、毎年二十前後の団体が活動。二〇一六年は延べ八百二十三人が計十九万四千本を取り除いた。

 それでも根絶に至らないのは、外来植物が強い繁殖力を持っているからだ。セイヨウタンポポのように、地中深くに根を張るタイプは、全てを掘り返すことはできず、増殖阻止が精いっぱい。さらに、コガネスゲのように特定が難しい種もある。たとえ特定できても、国内の別の地域や低地から入って来た植物だった場合、除去の対象とするかどうか、判断を迫られる。

 アルペンルート周辺の自然保護を担う県立山センター(立山町)の黒田悦弘所長は「外来植物の根絶はできない。立山の本来の自然を守っていくために、これ以上増やさないように努力するしかない」と話す。

 

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