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アムールトラ繁殖へ正念場 ファミリーパークの高齢ペア

雌ミー(左)雄ヤマト(右)

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 絶滅危惧種ニホンライチョウ(国の特別天然記念物)など動物の繁殖活動で重要な役割を果たしてきた動物園の富山市ファミリーパークでこの冬、絶滅危惧種アムールトラの繁殖が正念場を迎えている。雄ヤマト(12歳)と雌ミー(13歳)の繁殖は2年連続で失敗。寿命、妊娠適齢期ともぎりぎりの状況だが、血縁的に理想のペアだけに国内の動物園関係者も成功を祈っている。(山本真士)

“三度目の正直”挑む

 寒冷地にすむアムールトラは冬場が発情期。昨年三月、ヤマトがミーの背後から乗り掛かったが、うまくいかず、交尾は失敗に終わった。「ヤマトは動物園で生まれ、人に育てられた。野生であれば獲得していたはずの経験が欠けている。うまくいかないのは、そのせいでは」。村井仁志・動物課長は分析する。

 ヤマトは二〇〇六年にアドベンチャーワールド(和歌山県)から来園。ミーは一四年に浜松市動物園から借りた。日本では一六年までの十年間にわたり十七回の出産で計四十一頭が育った。二頭は血縁が遠い理想的なペアで、相性は悪くない。

 国内のアムールトラの血統を管理する神戸市立王子動物園の山田亜紀子・飼育展示係長は「遺伝子の多様性を保つため、ぜひ成功し、個体群の保全に寄与してほしい」と期待する。

 ただ、一筋縄にはいかない。組み合わせが良くても発情が不十分なまま同居させれば、争う恐れがある。ヤマトとミーには年齢の壁も。妊娠適齢期は十四歳までとされ、飼育下では雄雌とも十五歳までに死ぬことが多い。

 ファミリーパークは“三度目の正直”を目指し、今月から発情促進を本格化。けんかしないよう普段は別々に飼育しているが、今は遠巻きに互いを観察させている。やがて鉄柵越しに鼻を寄せられるように飼育スペースを近付ける。好意的な行動を見せると、移動ルートや飼育スペースを交差させ、それぞれが残したにおいをかげるようにする。

 村井課長は「雌の発情は長くて五日間。地面を転がったり、しっぽを上げたりするミーの発情行動を見逃さず、一回のチャンスで成功させるつもりで臨みたい」と意気込んでいる。

「種の保存」阻む

人手、資金不足

 「種の保存」の取り組みは動物園や水族館の重要な役目だが、絶滅の危険がありながら繁殖が進められない動物もいる。

 ファミリーパークでは、準絶滅危惧種のユーラシアカワウソの雌二頭を欧州から迎えたが、人手や資金不足で若い雄がまだいない。シンリンオオカミは飼育スペース不足などで中断が続き高齢化。再開に向け、他園から十月に若い雌を借りたが感染症で死んだ。

 村井課長は「動物園での繁殖は人手や資金、施設に加え、動物の性質や法令、他園の状況など、さまざまな条件に左右される。簡単には進まない」と話す。

 アムールトラ ネコ科最大級の動物。ロシアや中国などに生息し、別名シベリアトラ。野生の頭数は推定約500頭。密猟や森林破壊などで絶滅が危ぶまれ、非政府組織の世界自然保護基金(WWF)など民間団体も保護に努める。国内では昨年末現在、25施設で計62頭を飼育する。

 

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