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特報とやま

冬の富山湾 波乗り熱く

(上)立山連峰を横目に、波乗りを楽しむサーファーたち=山中正義撮影(下)プロを目指して練習に励む米田琉翔さん=いずれも富山市の岩瀬浜で(米田征人さん提供)

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 冬の富山湾はサーファーにとってベストシーズン−。にわかには信じ難い話だが、冬型の気圧配置や湾特有の高波「寄り回り波」によって、春先ごろまで「湘南にも負けない、いい波」が押し寄せる。そんな極寒の海で幼少期から練習に励み、富山初のプロサーファーを目指して巣立った若者もいる。(山中正義)

気圧配置、うねり要因

 冷風が身に染みる十一月中旬の富山市の岩瀬浜。雪化粧した立山連峰を横目に、早朝や日没前にサーファーが波乗りをしていた。

 「富山の波は力がある。立山連峰を眺めながらするのもいい」。地元の四十代男性はさわやかな笑顔を見せた。兵庫県宝塚市の会社員芝理仁(りひと)さん(25)も「水は冷たいけど、人も少なく、乗りやすい」と気に入った様子。岩瀬浜には多いときで数十人が集まり、年齢は三十代以上が多いという。

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 富山湾でいい波が起こる主な要因は「寄り回り波」と「西高東低の気圧配置」。冬季に北海道の西海上で発生した高波がうねりとなって到達する寄り回り波が、サーフィンに最適な波を生み出す。西高東低の気圧配置で、沖合で北風が吹き、波が立つことも。

 とはいえ、冬には水温が一〇度近くまで下がる富山の海。富山県上市町のアマチュアサーファー米田征人(まさひと)さん(41)は「二〇〇〇年代に入ってウエットスーツが進化し、冬でもできるようになった」と分析する。

 だが、富山の県民でも地元でサーフィンができることを知る人は少ない。富山市内のボードショップ店長は「夏は波が立たず、サーファーを見かけないし、冬は寒くて海に行かないから」と苦笑いする。

 高波を求めるサーフィンは危険を伴い、油断は禁物。伏木海上保安部(富山県高岡市)の担当者は「体力と技量に見合った環境でやり、沖に向かう離岸流にも気を付けて」と呼び掛ける。

17歳 立山背に磨いた技

 富山初のプロサーファーを目指すのは、米田征人さんの長男琉翔(るか)さん(17)だ。全国屈指のサーフポイントとして知られる高知県東洋町の生見(いくみ)海岸へ“サーフィン留学”する高校三年生。「二十歳までにプロになり、世界中を回って、将来は富山で経験したことを若者に伝えたい」。富山湾で芽生えた夢の実現を目指す。

 征人さんの影響で二、三歳から一緒にサーフボードに乗っていた。ボードに立ち、波の上でターンできるようになると快感を覚えて、プロを志すように。「富山の波は立てば、太平洋にも引けを取らない。どこからでも立山が見えて景色がきれい。波を譲ってくれて、人も優しい」

 しかし、中学生になると大会で勝てず「実力的に行き詰まった」。太平洋側の同年代と比べて技術や演技力が劣ると痛感した。富山湾は太平洋側と比べると波の数は少なく、練習時間を確保することが難しい。「ここでは実力が上がらない」と感じた。

 愛用のボードを削る職人に誘われ、生見から近い徳島県海陽町の高校へ進学した。午前四時に起きて練習し、学校が終わると日没まで海に入る。「波の見つけ方や乗り方、サーフィンへの認識も変わった」と手応えを感じる。

 来春には高校を卒業し、一年間アルバイトをしながら練習し、二〇一九年に本場オーストラリアへ旅立つ計画だ。「プロになったら、スポンサーを付けて海外で波に乗り、写真や映像を残したい」

 

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