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記者コラム:越中春秋’17 回顧編<11> ものづくり県の働き方
経営者の意識カギものづくり県・富山の負の側面だったのか。三月上旬、電機大手パナソニック(大阪府)の砺波市内の工場に勤めていた男性従業員の過労死が発覚した。同社はこの男性らに違法な長時間労働をさせたとして、労働基準法違反容疑で書類送検され、「再発防止に向け、働き方改革を一層推進する」と社内外に宣言した。 広告大手電通(東京都)の新入社員の女性が過労自殺した問題がその半年前に発覚し、全国の企業が長時間労働の抑制へ走りだしていた。「働き方改革元年」の様相を呈する中、このニュースは日本中を駆け巡った。 昨年の県内の一人当たりの平均労働時間は全国平均を百時間近く上回った。勤勉な県民性や正社員の多さが要因とされる。有効求人倍率が一・八倍台で推移するなど人手不足が進み、働く人の負担は増している。 いくつかの県内企業はすでに働き方改革で実績を上げている。外用剤メーカー池田模範堂(上市町)は、残業が多い部署に生産性を高める設備やシステムを導入。YKKビジネスサポート(黒部市)は社員同士で仕事の情報を共有し、助け合う仕組みを築いている。 両社の改革は時短にとどまらない。部署の扉を取り払った開放的なオフィス。社員が感謝の言葉を贈り合うメッセージカード…。快適な職場づくりが生産性や意欲の向上、欠勤や離職の減少につながっていた。 働きやすい環境づくりは直接、間接的に業績に影響する。両社は経営トップが率先して取り組んだ。ものづくり県の浮沈は、経営者の意識にかかっていると言っても過言ではない。 (山本真士) =終わり PR情報 |
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