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富山型デイサービス「にぎやか」(2) にぎやか またやろう

にぎやか再開の日、大きくなったおなかをなでる仲間たち=富山市のにぎやかで

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 一九九七年三月に開所してから二十周年を迎えた昨年、突然の「休業宣言」をしました。昨年十一月二十五日から休み、実はこの原稿を書いている三月三十日に再開した次第です。

 実のところ、本当はにぎやかをやめるつもりだった。やめたくて仕方がなかった。しかし、やめられなかった。十九歳の時からにぎやかに通っている精神障がいのある子が、私が思い悩んでいるタイミングで妊娠を報告したのだ。

 彼女は実の母親もいるにもかかわらず、私に出産に立ち会ってほしいと、そして何より私にこの新しい命を一緒に育んでほしいと話してきた。現在三十三歳になる彼女は出会いから十四年、苦楽を共にした私を母親のように、そして私も自分の娘のように思い、互いにかけがえのない存在になっていた。

 障がいのある彼女が母親になることに不安がよぎった。「どうやって子供を育てるの?」「子供を育てることは簡単なことじゃないよ」。にぎやかをやめる決意を固めようとしている私に「にぎやかがあれば!」という思考がよぎった。

 なぜなら、シングルマザーの私は二人の子供をにぎやかで育ててもらったからだ。認知症のおばあちゃんが私の娘をずっと抱っこしてくれた。息子に自転車の乗り方を教えてくれたのも、にぎやかに通う障がいがある人だ。おかげで二人は物おじしない人間に成長してくれた。私と子供たちが平穏に暮らせているのはにぎやかのおかげだ。

 同じように、彼女の子供も育てることができればと考えて三時間。思い悩む私を涙を浮かべ不安そうに見つめていた彼女に「生まれてくる新しい命が健やかに育まれるために、にぎやかをまたやろう!」と言っていた。泣いていた彼女とやっと妊娠の喜びをわかちあった。再開した日には、臨月を迎え大きくなった彼女のおなかをなでるたくさんの仲間の姿があった。

 本来、デイサービスは介護サービスの提供と身体機能の回復や維持に努めることが目的だ。一方、赤ちゃんからお年寄りまで誰もが利用できる富山型デイサービスではただ普通の生活が流れているだけで、特別な訓練や専門的なサービスは見受けられない。「親子じゃないけど家族です」。共に支え合う人と人のつながりこそが富山型の魅力だ。 (理事長 阪井由佳子)

 

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