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NPO通信

ぴーなっつ(9) 周りの子たちも成長

小学校の卒業式で記念写真に納まるD君(左)と筆者=富山市で

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 障害児が普通学級へ通うには、いろいろなハードルがあります。通学が一人でできない、授業についていけないなどです。私は十五年前から九年間、自閉症の子D君の付き添いをしました。途中一年間だけ別の小学校に行きましたが、連続九年間一人の子を中心に周りの多くの子たちの成長も見られたのは、私の大きな財産になっています。

 私が付き添いをする中で気をつけたのは「壁にならないこと」と「D君だけの先生にならないこと」でした。D君だけの先生で、授業中ずっと横に付いてしまうと、私自身がD君と他のクラスメートとの壁になってしまい、子どもたち同士の交流を妨げてしまうと思ったからです。授業中、D君以外の子に教えていると、われ先にとD君に教えようとする子たちがなかなか理解できない彼に、群がる光景はほほ笑ましくもたくましくもありました。

 彼らの小学校最後の授業の日、サプライズで多くの子たちから手紙をもらいました。「D君が男子と肩を組んで遊んでいる姿を一年生の時は想像できませんでした」「これからは私たちがD君にいろいろ教えてあげるから心配しないでね!」と大人目線の手紙をくれた女の子たちがいました。

 彼女たちは中学生になって違うクラスになっても要所要所でD君のサポートをしていました。また、D君からは「一年生の時から先生は、僕にいろいろ教えてくれました。ありがとう」と書いてくれました。後日お母さんから、D君が一人でこっそり書いていたことを聞きました。六年間の成長の証しの手紙は、今でも大事にとってあります。

 卒業式が間近になったころ、一人の男の子が「そう言えば川添先生っていったいなんだったの?」と尋ねてきました。すると他の男の子が「教育実習で来ていたに決まってるだろう」と言いました。それを聞いて、六年間「教育実習」をさせてもらってありがとうという思いと、D君のために来ていた先生ではなく、教育実習生と思われていた私は、子どもたちの交流の妨げにはなっていなかったのだと、ほっとした瞬間でした。 (代表 川添夏来)

 

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