トップ > 富山 > NPO通信 > 記事

ここから本文

NPO通信

ぴーなっつ(8) 共生の姿 教えられた

運動会に参加する小学1年生のD君(中央)=富山市で

写真

 「共生社会のためには、インクルーシブ教育が必要だ」と頭の中ではずっと考えていました。ですが、実際に自閉症の子D君の付き添いを始めてみて、理想と現実の落差に悩みました。

 授業中、椅子に座っていることができず、教室を飛び出す。教室に戻るよう促すと唾をかける。教室に戻っても窮屈そうにするD君を見ていて、本当にインクルーシブ教育は正しいのか、無理をさせているのではないか、と悩み苦しみました。その思いは、家族も教師も同様で、何がD君にとってより良い選択なのかを頻繁に話し合いました。

 D君の学年は卒業まで単一クラスで、六年間ずっと一緒に過ごしました。一年生の時、小学生にとっては重要な係を決める時間がありました。D君は人気のある係に手を挙げました。リーダー格の男の子が「じゃんけんで決めようと思っていたけど、D君はできない!」と言い、そこからクラスの話し合いが始まり、話し合って出た結論が「D君は決定で、その他でじゃんけんしよう」でした。

 この方法が正しいかは別として、自分たちでルールを模索して決めたのは「すごい」と思いました。じゃんけんで負けた子は泣いていましたが「D君ずるい」と言う子は一人もいませんでした。それは自分たちで決めたルールだからこそでしょう。

 また体育の時間、低学年の時は運動が苦手な子に暴言を吐いていた子たちが、高学年の長縄大会で「失敗しても大丈夫、運動部で取り戻すから!」と声を出し、クラス一丸となって頑張っていました。長縄に入るタイミングを以前、私が背中を押して教えていたのを見ていた彼らは、高学年になると全部自分たちでやっていました。

 クラスが一年たつにつれて、子どもたちは共に学び合い、補い合い、小さな共生社会が実現していく姿をクラス全員から教えられました。この六年間で私がいろいろ悩んでいたことは解消され、単なる理想ではない「インクルーシブ教育」の素晴らしさを学ぶことができました。 (代表 川添夏来)

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索