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とやまホーム管理サービス(8) 思い守る「100円不動産」

100円不動産の対象となった家の前に広がる美しい海=昨年、石川県で(とやまホーム管理サービス提供)

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 どんなに立派な家でも、継ぐ人がいなければ空き家になってしまいます。「先祖代々住み続けてきた家を残したい」というお年寄りの思いを守るため、新たな居住者を探す「100円不動産」プロジェクトが始まりました。

 「もう、家を継ぐ者がおらん」。お年寄りの相談です。娘さんが付き添いで「最近会話が通じない時がある」と、残された時間が少ないことを説明します。「もう使わない空き家の実家を使ってくれる人を探してくれないだろうか?」

 私たちは、空き家管理を行っているNPOです。最近、空き家についてさまざまな相談が寄せられるようになりました。「売ったところではした金。あの世に行ってご先祖様に合わせる顔がない。身内でなくても昔のようにこの家で楽しく会話をしてくれたら、ここで思い残すことは何もない」。おじいちゃんが生まれ育ち、たくさんの思い出が刻まれた家。ずっと使ってくれさえすれば、お金は問題でありません。

 それは、最寄り駅まで二十六キロ、市役所まで車で四十分、県庁は九十分、築七十年の土蔵も納屋もある立派な民家です。が、現在の不動産評価制度では無価値とされます。仮に値段がついたとして、百円の不動産の仲介手数料は法律の決まりで5%の五円。ビジネスにはなりませんし、近くに不動産屋自体ありません。

 もはや「負」動産となった空き家。見に行くと、そこは窓越しに広がる空と海、水平線に夕焼けがひときわ映えます。浜ではとれたての魚介を水揚げしています。家もとてもしっかりしていて、そのまま住めます。

 そんな話を周りにしたら「使いたい」と手を挙げた人がいました。金額が小さすぎるか、遠すぎて不動産会社は扱えない空き家を紹介する「100円不動産」というプロジェクトのスタートです。

 スーパーで豆腐を買うのとたいして変わらない金額、しかしこれは不動産売買です。契約にあたり予想外の問題がありましたが、そこは私たちの協賛会社の専門家を頼って解決しました。契約は当事者で直接行い、必要なら助言するスタイルもここで生まれました。

 「これで一つ荷が下りた」。手続きが終わり報告にいったとき、おじいちゃんは静かな海に落ちる夕日のように穏やかな表情で迎えてくれました。

  (NPO法人とやまホーム管理サービス・中山聡)

 

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