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メダカの学校を探せ! 北陸中日・BBT共同企画

 富山県内の自然環境を地域の人と探索する北陸中日新聞・富山テレビ放送(BBT)共同取材企画。BBTの番組クルーとともに現地に入り、貴重な自然の現状をテレビ番組、新聞記事の同時展開で伝えます。

【氷見・乱橋池一帯編】 澄んだ池にいっぱい

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休耕田跡 ヤゴも次々

 今回の調査場所は「トンボの楽園」。北陸中日新聞と富山テレビ放送(BBT)の共同取材班は十五日、氷見市宮田の乱橋(みだれはし)池一帯を訪れた。トンボをはじめ、さまざまな生き物が息づく静かな湿地帯は、メダカにとっても楽園になっているだろうか。(杉原雄介)

林達雄さん

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 「乱橋池周辺のトンボと自然を守る会」の会長を務め、長年この地域の環境保全に力を注ぐ林達雄さん(67)が情報を寄せてくれた。

 氷見市南東部にある乱橋池一帯は、ササ竹が交ざって木々が生い茂る谷間の里山。一帯に広がる池や湿地は、ここからしみ出してくる水を受け止める。

メダカを取ろうとたも網を一生懸命動かす子どもたち=いずれも氷見市宮田で

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 林さんによると、周辺の休耕田には外敵がいなかったため、昔からトンボが多く見られた。二〇〇三年にはトンボがすみやすい環境をつくろうと、県が休耕田を湿地や池に整備。現在は六十七種が生息するという。

 調査には林さんのほか、今回初参加の矢野美沙キャスターと、近くの宮田小学校の児童やマヤ保育園の園児、保護者ら二十五人も参加してくれた。

たくさん取れたメダカを観察する子どもたちとBBT矢野美沙キャスター(中)

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 休耕田の跡で少し水がよどんだ池に、林さんがたも網を入れると早速、取れた! 見ると、小さなザリガニだった。「ザリガニはトンボの幼生ヤゴを食べてしまう。休耕田の時は乾燥に弱いザリガニは少なかった。池を整備した後は常に水があるので急速に増え、今は数千匹はいる」と林さん。トンボを守るため、定期的に駆除しているという。

 三分ほどすると、子どもたちから「ヤゴおった」の声。オニヤンマのヤゴが網にかかった。トンボの楽園らしい相次ぐ発見に、子どもたちが色めき立ち、手にした網の動きが活発になった。

 しかし忘れてならないのは、メダカを探すというわれわれの使命。一同に焦りの色が浮かぶ中、林さんは余裕の表情を浮かべていた。「絶対に取れる場所へ行きましょう」と向かったのは、周囲の山から澄んだ水が流れ込む、水深三〇センチほどの小さな池。「メダカはきれいな水の流れる池に群生しやすいからね」と教えてくれた。

オニヤンマのヤゴ

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 子どもたちが網を入れると、すぐに歓声が上がった。体長二センチほどのメダカだった。魚津水族館の不破光大学芸員(35)によると、体に黒い斑点がかすかに見られることから、キタノメダカだろうとのこと。その後も続々と「取れた!」の報告が届いた。

 十五分ほどで十九匹が取れ、子どもたちも「これだけいれば本当に学校だね」と笑顔を見せた。同校三年の松野那奈さん(8つ)は「昨日からメダカすくいを楽しみにしてたけど、思ったより多くてわくわくした」と満足そう。林さんは「子どもたちの笑顔が一番の収穫。本当の自然を楽しんでもらえるよう、地域全体で豊かな環境を守り育てたい」。楽園の守り手の声に力がこもった。

観光地にはしない

 「トンボの楽園」乱橋池ではこの日も、イトトンボなど数種類が飛び交う様子が見られた。体長二センチほどで世界最小といわれるハッチョウトンボが生息するなど、観光資源としても魅力的だと感じるが、林さんは「大々的なPRは考えていない」と話す。

子どもが捕まえたイトトンボ

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 観光地化しない理由として挙げたのが、トンボの生息数の減少だ。周囲の環境の変化やザリガニの繁殖が主な原因だという。

 「昭和の終わりごろは、オニヤンマが群れで飛ぶ光景が見られた。現在は『楽園』というには程遠い」と、市からの観光PRの打診も断った。

 今は、会のメンバーを中心にザリガニ駆除など地道な活動を続け、生息数の回復を目指している。多くの子どもたちの遊び場にしたいという思いは強く、林さんは「未来の子どもたちのためにも、訪れる人は環境の保全に配慮して景観を楽しんでほしい」と呼び掛ける。

(第25回)2014年9月18日放送(動画提供:BBT)

  • 取材場所:氷見市宮田・乱橋池(みだれはしいけ)の周辺
  • 湿地帯の規模:大小10個ほどの池が点在、水深10〜50cm
  • 水温:24.2℃
  • 『トンボの楽園』として知られる乱橋池周辺の湿地帯を調査し、キタノメダカを確認した。一帯にはアメリカザリガニが大繁殖し、トンボの幼生であるヤゴを食べてしまうことから、地元の「乱橋池周辺のトンボと自然を守る会」が中心となって駆除活動に当たっている。
  • 他の生物=ドジョウ、ウシガエル、ヤゴの一種

 県内のメダカなど淡水生物の情報は北陸中日新聞富山支局へ。電話076(424)4141、ファクス076(422)3191

 

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