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とやま遺産

入善・杉沢の沢スギ 湧き水で根付く奇跡

湧き水の周辺に生い茂る沢スギ=入善町吉原で

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 一つの株から一本、また一本。J字形に曲がった幹が、空に向かってにょきにょき伸びる。根元には絶え間なく湧き出る地下水。流れ、合わさり生まれる川や池に、葉の緑が映り込む。「神秘的」「山みたい」「トトロの林」。立ち入った人々が感嘆の声を上げる。

 スギが育ちやすい場所ではない。地面は石と砂ばかり。河原に似て、養分が少ない。地表近くに張り出した枝から根が出て増える独特の性質「伏条更新」で、命をつないでいる。海岸近くで見られるのは、国内でここだけ。成長のスピードは普通のスギに比べ三分の一から四分の一ぐらいゆっくりだと、年輪の幅から推定されている。

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 かつては住民の暮らしと共にあった。幹は柱、落ち葉や枝は燃料になった。住民は手入れして守り、育てた。だが、戦後しばらくして水田整備のために切り倒され、ほとんどが姿を消した。二・六ヘクタールが残った。

 スギとスギの間で、海岸の植物と立山の植物が共存する。立山の植物は黒部川を流れ、定着した。夏は冷たく、冬は温かい地下水が、それぞれの命を支える。県自然観察員の目澤昭男さん(70)=入善町上野=は言う。「子どものころは身近な遊び場だったが、勉強して分かった。杉沢は、奇跡の自然だ」 (山本真士)

 

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