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富山

平成の記憶 2008年 観光と物流 拡大加速

東海北陸自動車道が全通

暫定2車線区間を走るトラックや乗用車=南砺市立野原東の東海北陸自動車道で

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 庄川をまたぎ、渓谷に架かる巨大な橋。越中五箇山菅沼集落保存顕彰会(南砺市)の会長中島慎一さん(59)は初め、違和感を感じながら見上げた。一九九〇年代半ば。東海北陸自動車道・五箇山橋の建設が、自宅裏の風景を徐々に変えていった。「いよいよ開通するんやな」。違和感はいつしか、期待感に変わった。

 五箇山の合掌造り集落は九五年、白川郷(岐阜県)とともに国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。ブームを後押しするかのように、東海北陸道では未通区間が順次開通。五箇山インターチェンジ(IC)−白川郷ICは二〇〇二年につながった。かつて冬場は豪雪で閉ざされた「陸の孤島」が、年に七十万人以上が訪れる観光地へと変貌を遂げた。

 険しい山岳地帯を貫き、岐阜、愛知両県へ延びる新たな幹線道路は、富山市−名古屋市間の移動時間を三十分余り縮めた。〇八年に全線が開通してから、富山県内区間の交通量は倍増。北陸から東海、東海から北陸へ−。地域を越え、事業を拡大する企業が相次いだ。道路を管理する中日本高速道路(名古屋市)は、全線開通から十年間の県内の経済効果を一兆四千億円とはじく。

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 一方、開通時から問題視されてきたのが「暫定二車線」の存在だ。中央分離帯はなく、片側一車線の対面通行となる。死亡事故発生率は通常の四車線以上の二倍とされ、事故や工事で頻繁に通行止めが発生する。

 高速道路の拡幅は、利用者負担が原則。四車線化は一日一万台の通行が目安で、県内の区間は九千台に届いてこなかった。拡幅への足掛かりとして、追い越し用車線や中央分離帯を設ける「実質四車線化」が進められているが、未対処区間は南砺スマートIC−福光IC間や城端トンネル以南など二十キロ余りに上る。

五箇山−白川郷IC間の開通を祝うパレード=2002年11月16日、上平村(現南砺市)の東海北陸自動車道で

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 国土交通省は一七年、全国的に四車線化を加速させる方針を公表。一八年度中に対象を絞り、国債などで調達した資金を低利で貸して拡幅を後押しする構えだ。

 ただ、県内の区間が対象になるかどうかは見通せない。事故防止や災害対応などから優先度が高い区間は全国で六百キロを超える。さらに、県内の候補区間はトンネルが連続し、拡幅には膨大な費用が必要になる。

 富山、岐阜両県は十三日、国土交通省と中日本高速道路に全線四車線化の必要性を訴える「総決起大会」を都内で初めて開く。富山県道路課の担当者は「安全対策は交通量だけで決められる問題ではない。対象に位置付けられるように、熱意を伝えたい」と話す。 (山本真士)

 

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