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イ病発生源・神岡鉱業の堆積場 100ミリ超豪雨 設計基準外

和佐保堆積場に設置された非常用排水路=岐阜県飛騨市で

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 富山市を流れる神通川の上流にあり、イタイイタイ病(イ病)の原因となった三井金属の神岡鉱業(岐阜県飛騨市)は、和佐保堆積場に汚染物質カドミウムを含む鉱石のくずをためている。堆積場は過去に決壊し、農業被害を起こしたことがある。国の基準に従い、百年に一度の雨量に耐える設計基準を設けているが、近年は各地で観測史上最大の豪雨が発生。専門家は、豪雨による堆積場への影響を懸念している。(木許はるみ)

専門家、対応検討を訴え

 堆積場は許可量が二万六百二十五立方メートルで、鉱山の堆積場では国内有数の規模。一九五五年に使用を開始した。飛騨市神岡町の住宅地から四百メートルほど山中に入った県道484号沿いに位置する。

 大雨に対する排水設備として、堆積場を囲む山の斜面にU字溝があり、堆積場の上流には下流に雨を通すトンネルもある。また場内には、U字溝やトンネルで対応できない場合に備え、非常用排水路も整備する。

 経済産業省は、全国の堆積場の建設に関する指針で、少なくとも百年に一度の最大降水量を想定し、使用を終えた場合は、二百年に一度の最大降水量に対応するよう定める。

 神岡鉱業によると、U字溝やトンネルなど通常の排水設備で百年に一度の時間雨量六七ミリに、非常用排水路のみで二百年に一度の時間雨量八二ミリにそれぞれ対応するよう設計したとする。

 一方、近年は各地で時間雨量が一〇〇ミリを超える豪雨が発生。神岡鉱業の担当者は「時間雨量一〇〇ミリの検討はしていない。何が必要か考える必要はあるが、日常的に水路が閉塞(へいそく)しないように管理することで一〇〇ミリに耐えると思う」と説明する。

 科学者らでつくるイ病発生源対策協力科学者グループの畑明郎代表(元大阪市立大大学院教授)は「以前と雨の降り方が変わり、これまでの設備では通用しなくなっている。対応の検討を」と同社に訴え、「国の基準も見直してほしい」と話す。各地に旧鉱山の堆積場もあり、イ病対策協議会の高木良信前副会長も「聞いたことのない災害が起きている。絶対安全はない。会社がなくなっても堆積場はなくならない」と継続した対応を求めた。

 イ病の被害者らで神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会(被団協)は三十日、神岡鉱業への立ち入り調査で、豪雨対策などをただすという。

過去に決壊、被害

 鉱山の堆積場 神岡鉱業には3カ所の堆積場がある。最大の和佐保堆積場は、裁判資料などによると、1955年5月に決壊。水田に汚水が流入し、神通川一帯の農作物に被害を及ぼした。三井金属は被害に伴う見舞金を支給したが、同社には決壊の資料が現存せず、詳細は不明という。全国には閉業した鉱山の堆積場も残る。東日本大震災では、東北地方の3カ所の堆積場で流出事故が発生し、民家や田畑、鉄道に堆積物が流れた。経済産業省はこれを受け、耐震性の基準を強化した。

 

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