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流産死産 悲しみ一緒に 女性二人がお話の会開催

部屋の一角に侑咲ちゃんの写真を飾り、亡き娘に心を寄せる押尾亜哉さん=本人提供

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 おなかに宿った命が妊娠中や出産直前に亡くなってしまう流産や死産。命の存在を強く意識する妊娠期間に訪れる突然の別れを経験した県内の女性二人が、亡くなった子どもに思いを寄せ、悲嘆を和らげるグリーフケアの会をつくり活動している。ひとり涙を流したつらい体験から時がたち、同じ境遇の女性やその家族に手を差し伸べている。

 静岡市駿河区の会社員押尾(おすお)亜哉さん(47)は十三年前、一月と六月に二度の流産を経験した。胎児の心拍が確認できる前の早期流産。妊娠しても出産に至らない「不育症かもしれない」と産婦人科を受診した。その年の九月、再び妊娠が判明。長男=当時(6つ)=や家族も喜びに包まれた。

 翌年五月、妊娠三十週で破水し入院。安静指示が出たため、わが子との対面を目前にして一晩病院のベッドで過ごした。しかし翌日、胎児の心拍が弱まり緊急帝王切開手術で出産したが間に合わず、長女・侑咲(ありさ)ちゃんの命を救うことはできなかった。

 「世界中で私ほど不幸な人はいない」。八七五グラムの小さなわが子の棺(ひつぎ)を家族で用意し、四日後に天国へ送った。泣き暮らし、同じ境遇の人とのつながりを求めた。

おなかの中で亡くなった子の母子手帳を手に思い出を話す田中愛さん=浜松市東区で

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 浜松市東区のセラピスト田中愛さん(44)は、十五年前に第一子を流産した経験がある。親や友人に妊娠を伝え、待望のわが子の母子手帳を手にした直後の十四週目、腹部の鈍痛に見舞われ、受診した産婦人科で流産した。

 「このおなかにもう赤ちゃんがいないなんて…」。暗転した事実は、喪失感や罪悪感となって長い間心を覆った。亡くなった子の存在が日に日に大きくなった。「誰かに思いを聞いてほしかったが、相談先はなく、インターネット上につながりを求めた」と、振り返る。

 二人は今、それぞれが住む地域で、会員制交流サイト(SNS)などを通じて流産・死産を経験した女性や家族向けのお話の会を告知し開いている。「子どもが生まれたら相談する場所はたくさんあるが、生まれなかったことに関して相談する所がほとんどない」と押尾さん。田中さんは「悲しみを胸にしまっている方は、実は多いのかもしれない。話しても話さなくてもいい。つらい経験を共に分かち合いましょう」と語りかけている。

(久下聡美)

 押尾亜哉さん主催の「アンズスマイル」は静岡市内で年4回、お話の会を開催。新生児死経験者も対象。次回は9月22日(土)に静岡市南部生涯学習センターで。問い合わせはメール=ans.smile.shizuoka@gmail.com

 田中愛さん主催のお話の会「お空にかえった赤ちゃんのママ茶話会」は、浜松市内の自宅などで年4回開催。次回は9月14日(金)と30日(日)。問い合わせはメール=greenleaf7416@gmail.com

 <流産と死産> 日本産科婦人科学会は、妊娠22週未満で胎児が亡くなることを流産、それ以降の死児の出産を死産と定義する。厚生労働省の研究班が2009年に明らかにした研究結果では、妊娠したことがある35〜79歳の女性の41%が流産を経験し、流産や死産を繰り返す「不育症」の患者は年間約8万人に上った。

 

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