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支え合う仲良し家族 東伊豆の火災不明4人

(左から)白鳥都志美さん、白鳥宏樹さん

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 東伊豆町奈良本の白鳥広己さん(60)方が全焼し、焼け跡から四人の遺体が見つかった住宅火災で、下田署は行方が分からなくなっている家族四人の名前を公表した。四人は妻の都志美さん(53)、長男の宏樹さん(29)、次男の利樹さん(28)、宏樹さんの長男の春斗(しゅんと)君(5つ)。署は、遺体はこの四人とみて身元の確認を進めている。全焼した住宅前には五日も献花が相次ぎ、四人を知る関係者からは、穏やかで仲の良い家族の不幸を悲しむ声が広がった。

 宏樹さんは、若くして一家の大黒柱だった。男手一つで育てている春斗君と、数年前に患った目の病気で運転ができなくなった白鳥さんを毎朝、車に乗せて園と職場に送迎しながら、町内の介護施設で働く日々だった。

 同僚の古見和枝さん(56)は「入所者に慕われていた。春斗君の弁当をこしらえて、仕事と子育てを両立した本当に良いパパだった。時計の針が戻るなら戻ってほしい」と悲しんだ。

春斗君のものとみられる遊具も散乱する火災現場。この日も献花や飲み物などが供えられていた(手前)=5日、東伊豆町奈良本で

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 都志美さんは地元では働き者として知られた。町内のホテル「開春楼(かいしゅんろう)」の調理場の洗い場担当として五年ほど前から営業閉鎖する今年六月まで働いていた。支配人だった板垣暁美さん(51)によると、都志美さんは「夫が目の病気になって家族で協力して働かないといけない」と話していたといい、勤務態度も真面目だった。「旅行にもよく行く仲の良い家族という印象。残念です」と声を落とした。

 利樹さんは、県内の特別支援学校を卒業後、約八年前に町内の介護事業運営会社に就職し、有料老人ホームで清掃や洗濯などを担当。高齢の利用者に対する優しい応対が評判だった。さらに職域を広げるため介護の資格も取得、職場でも期待されていた。就業を支援した関係者は「職場に定着し、誇りを持って仕事をしていた」と話した。

 自宅で家族全員でバーベキューを楽しんだり、買い物に出掛けたりする姿も頻繁に見られた。近所の加藤勝義さん(79)は「皆が働き者で支え合い、ひと昔前のような結束の強い家族だった」と唇をかんだ。 

(中谷秀樹、佐久間博康、谷口武)

◆孫・春斗君「小学校楽しみに」

白鳥春斗君

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 「心優しい子。小学校に上がるのを楽しみにしていたのに…」。春斗君が通う三宝保育園(東伊豆町稲取)の加藤淳香(じゅんこう)園長(56)は言葉を詰まらせた。

 同園の園児八人のうち、年長児は春斗君だけ。おもちゃを友達に譲ってあげるなど、けんかしないように気配りのできる子だったという。

 十月の運動会では、リーダーとして開会と閉会のあいさつを任されることになっており、今月から練習を始めるところだった。

 春斗君が最後に来園したのは八月三十一日。卒園した小学生たちとサッカーを楽しんでいたという。「来年、小学校に上がるのを楽しみにしていて、年長になってからは苦手な数字や平仮名の勉強もこつこつ頑張っていた」と振り返る。

 加藤園長は「園児たちには『春斗君にもう会えないかもしれないから、けんかをしない元気な性格を見習おうね』と伝えた」と涙を浮かべた。

(杉原雄介)

 

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