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市立静岡病院で院内感染か 2人死亡

 静岡市立静岡病院(同市葵区)は十日、ほとんどの抗生物質が効かない菌「多剤耐性アシネトバクター(MDRA)」に入院患者四人が感染し、このうち二人が死亡したと発表した。二人のうち女性(81)の死因はMDRAによる肺炎と分かったが、男性(78)はMDRAが陰性化した後に敗血症で死亡しており、因果関係は不明という。

 同病院は院内感染が起きたとみており、宮下正院長は「患者、家族、地域のみなさまにご心配、ご迷惑をおかけしおわびする」と謝罪した。

 病院によると、感染した四人は六〜七月の間に、一般総合重症治療室(GHCU)の同じ部屋で治療を受けていた。

 発端となったのは死亡した男性で、五月三日に台湾で体調を崩し、静岡病院に転院後の六月五日にMDRAが検出された。

 残りの二人のうち三十代男性は発症したものの快方に向かっている。八十代女性は保菌状態ではあるが発症していない。

 病院は、感染を受けて六月十五日にGHCUへの新規の患者受け入れを一時中止。室内の検査では、たんなどを吸引するびんのスイッチからMDRAが検出された。病院では患者一人に処置をするごとに手を消毒するようマニュアルを作成していたが、消毒が不十分だった可能性があるという。今後、感染防止のための消毒や、衣服の着脱の手順を徹底するとしている。

 病院では七月十九日にGHCU内の消毒を行い、MDRAが検出されなくなったため翌二十日から患者の受け入れを再開した。

◆院内感染相次ぐ

 十日に静岡市立静岡病院が発表した多剤耐性アシネトバクター(MDRA)が原因とみられる院内感染。MDRAは中国や韓国、東南アジアで流行していたが、今月、鹿児島大病院(鹿児島市)で患者十五人から同じ細菌などが検出され、八人の死亡が明らかになるなど、近年、国内で院内感染が相次いでいる。

 もともとアシネトバクターは自然環境の土や川の水などに生息し、健康な人には無害な細菌だが、病気などで抵抗力が落ちた人に感染し、肺炎などを引き起こすことがある。さらに、複数の抗菌薬への耐性を獲得したものがMDRAと呼ばれる。

 国内ではほかに二〇〇八〜〇九年、福岡大病院(福岡市)で患者四人が、〇九〜一〇年には帝京大病院(東京都板橋区)で三十五人が死亡。三重大病院(津市)も一四年九月に七人の患者からMDRAが検出されたことを発表した。

 国立感染症研究所のホームページによれば、MDRAは菌が付着した医療器具を使用することなどで感染し、手洗いが不適切な場合、指の接触により感染が広がる。同研究所は院内感染の予防策として「院内の環境を清潔に保ち、医療器具の消毒や手洗いを徹底することが重要」と呼びかけている。

(瀬田貴嗣、酒井大二郎)

 

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