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実行犯、息子より長く生きた 松本サリンで次男犠牲

豊さんを亡くした松本サリン事件を振り返る小林房枝さん=6日、掛川市の自宅で

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 「まだ心の整理がついていない複雑な気持ちですが、もっと早く執行してほしかった」。松本サリン事件で出張中だった次男の小林豊さん=当時(23)=を亡くした母の房枝さん(76)は六日、掛川市の自宅で本紙の取材に応じた。二十四年前の事件を振り返り、「実行犯は刑務所の中とはいえ、息子の人生より長く生きていた」と述べ、悔しさをにじませた。

 房枝さんは早朝、別の被害者遺族から電話で麻原彰晃死刑囚の執行を聞き、豊さんの仏壇に報告した。ただ、いまだに信者らに影響を残す麻原死刑囚の執行は「信者たちが、テロは考えなくても何か行動を起こしかねず、執行は最後だと思っていた」と述べた。さらに事件のことを知らない世代が教団の後継団体に入るケースに懸念を示し、「(麻原死刑囚が)生きていた頃よりも神聖化させてしまわないことを願っている」とも話した。

 豊さんは掛川西高から武蔵工大(現・東京都市大)を経て、大手電機メーカーに就職。一九九四年五月に長期出張を命じられ、長野県松本市内に借りたアパートで六月二十七日、事件に巻き込まれた。房枝さんは翌二十八日早朝、豊さんが搬送された病院から連絡を受けた。

 房枝さん方には十六年前、遠藤誠一死刑囚と中村昇受刑者=無期懲役が確定=から事件をわびる手紙が届いたが、「もう何が書いてあるかも忘れてしまったが、信用できなかった」とも。事件の真相が究明されず、七人の死刑が執行されたことに「あの人たちが心から反省していると思えないし、何も期待していない」と毅然(きぜん)と語った。

(赤野嘉春)

 

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