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朝夕刊

スルガ銀の改ざん 行員ら認識か

◆シェアハウス融資 1258人に2035億円

シェアハウス融資を巡る混乱について謝罪するスルガ銀行の米山明広社長(右)ら=15日午後、沼津市で

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 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の所有者の大半に購入資金を融資していたスルガ銀行(沼津市)は十五日、相当数の行員が融資の審査書類の改ざんを認識していた可能性が高いとする社内調査結果を発表した。シェアハウス向け融資の総額は二千三十五億円、所有者は千二百五十八人に上ることも明かした。

 調査結果によると、融資に際し、所有者の自己資金の残高を証明する通帳などの偽造や改ざんが行われていたほか、所有者と不動産業者が正規の売買契約書とは別に金額を水増しした銀行提出用の契約書を交わし、過剰な融資を引き出していた。行員はこうした事実を認識しながら貸し付けていた可能性があるという。

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 また、多くのシェアハウス向け融資が行われた横浜東口支店(横浜市)では、融資の条件として、購入資金とは直接関係のない無担保ローンを所有者に抱き合わせで販売していた。

 無理な融資が横行した背景として、増収増益を継続しなければならないという全社的なプレッシャーがあったと説明。営業部門の幹部が融資に難色を示す審査部門の担当者をどう喝するなどの圧力をかけることもあり、審査機能が十分に機能していなかったとした。

 通帳などの改ざんに行員が直接関わったか、役員の関与があったかなどについては、顧問弁護士以外の弁護士による第三者委員会を設置し、根本原因とともに調査するとした。

 沼津市内で会見した米山明広社長は「お客さま、株主に多大なるご迷惑とご心配をお掛けしたことをおわび申し上げる」と陳謝。強引な融資について「社員が(顧客の)リスクを十分に理解できていなかった。銀行員としての良識を強めなければいけなかった」と述べた。経営責任については「原因を一番深い部分まで明らかにし、次の経営陣に引き継ぐのが責任」と語り、第三者委の調査や金融庁の検査結果が出た後で明らかにするとした。

(伊東浩一、久下悠一郎)

◆偽りの「優等生」 ずさん、強引、個人融資

シェアハウスに関する融資が問題となっているスルガ銀行の本店=沼津市通横町で

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 シェアハウス向け融資を巡る社内調査で、相当数の行員が書類の改ざんなどを認識していた可能性を明かしたスルガ銀行(沼津市)。個人向けに高金利で貸し出す独自の経営手法で高い収益を上げ、マイナス金利時代の「優等生」と金融界でたたえられてきた。しかし、その裏では強引かつずさんな貸し付けが横行。法令順守意識に乏しい企業風土が浮き彫りになった。 

 横浜銀、静岡銀という巨大地銀に地盤を挟まれたスルガ銀は、一九八〇年代から個人向けの融資に活路を求めてきた。

 他の金融機関が融資をためらう顧客に対しても、リスクを取る代わりに高い金利で貸し付け、審査も迅速にした。こうしたビジネススタイルを可能にしたのは「それぞれの客に対し、いくらまで貸しても大丈夫という独自の審査ノウハウを持っていたから」(県内地銀関係者)とされる。

 今では貸出金全体の九割を個人向けが占める。日銀のマイナス金利政策下で、地銀の預貸金利ざや(貸出金利と預金金利の差)の平均が0・29%(二〇一七年三月期)と低迷する中、スルガ銀は2・35%(同)と、突出した高さを誇ってきた。

 そうした高利回りの融資こそ、正確な返済能力の審査と十分なリスクの説明、顧客の同意が不可欠なはずだが、スルガ銀ではその要となる審査部門や取締役の監視が機能しなかった。

 顧問弁護士らによる調査では、審査を通りやすくするために、不動産業者が所有者の通帳などの審査書類の預金残高を水増しするなどして改ざん。行員もその疑念を持ちながら受け付け、審査で難色を示す担当者には営業幹部がどう喝した。監査部門もリスクを把握できず、経営陣はシェアハウス関連の融資の規模を把握していなかったという。

 県内の金融関係者は「多くの金融機関が本業で稼ぐのに苦労する中、スルガ銀の手法は『スルガモデル』とも言われ、他行も参考にしてきただけに、問題の影響は大きい」と話す。スルガ銀は第三者委員会を設置して原因を究明を進める。高利回りを誇ったビジネスモデルのあちこちに、ずさんな融資を許す穴があいていたことが分かった今、真相を解明して再発防止策を打ち出さなければ、信頼回復の道筋は見えてこない。

(伊東浩一)

◆米山社長会見

記者会見で謝罪するスルガ銀行の米山明広社長=15日、沼津市上土町で

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 スルガ銀の米山明広社長の記者会見での主な一問一答は次の通り。

 −増収増益を重視する態勢は、なぜ生じたのか。

 「(小口融資の)リテールビジネスがうまくいくようになり、増収増益が続いたのは事実。その中で『今期も増収増益としなければならない』というプレッシャーになり、全社のミッション(使命)という形になっていった。営業部門の力が入りすぎて、審査より営業が強い体質になった」

 −シェアハウス融資問題の根本的な原因は。

 「社員がリスクについて十分に理解できていなかった。もっと言えば、銀行員としての良識をもっと強めないといけなかった。リスクに対する感受性を高めることは銀行員の常識。きちんと持っていれば、慎重にできた。(リスクとは)お客さまにご迷惑をおかけするというリスク」

 −社内アンケートの回答内容は。

 「答えがバラバラ。(改ざんを)『聞いたことがある』とか、もう少し踏み込んだものとか。第三者委員会に移管して内容の精査からすべてやっていただく。書いてあることがどういう意味なのかというところまで詰めないと分からない」

 −役員で改ざんに関わった人がいたのか。

 「確認できていない。ただ、ちゃんと調べない限りは無責任。それも含めて第三者委に見てもらう」

 −社長の経営責任は。

 「なぜこのようなことが起きたかをともかく追及する。一番まずかったところ、深いところまで明らかにしたい。対策をきちんと作った上で、次の経営陣に引き継ぐのが責任だ」

◆スマートデイズ破産手続き開始 かぼちゃの馬車運営

 シェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営が頓挫した不動産会社のスマートデイズ(東京)は十五日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けたと発表した。電気や水道をスマートデイズ名義で契約中の物件がかなり残っているとして所有者側に早期の名義変更を要請した。このままでは破産に伴い止まるという。

 スマートデイズは四月に民事再生法の適用を申請したが、所有者側が財産隠しなど不正の有無を追及するため破産を主張。東京地裁が申請を棄却し、破産手続きに移っていた。

 

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