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朝夕刊

日本のピアノ史 たどる1冊出版

◆200メーカー 往年の名品にも光

日本のピアノメーカーとブランドの歴史をまとめた自書を手にする三浦啓市さん=浜松市中区で

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 日本のピアノ史に詳しい編集企画会社「按可(あんか)社」(浜松市中区)の会長三浦啓市さん(68)が、国内のピアノ製造や販売の歴史をまとめた書籍「日本のピアノメーカーとブランド」を同社から出版した。黎明(れいめい)期の明治時代から現代に至るまでに存在してきた、およそ二百メーカーと四百ブランドの情報を集録。ヤマハやカワイはもちろん、今では耳慣れない名を冠した往年のピアノの数々に光を当てている。

 三浦さんは三十歳のころに按可社を設立。楽器メーカーのカタログ作りなどを請け負ううちに、ピアノの魅力に引き込まれていった。「木目を読んで材料の木を選ぶ段階から、人間味にあふれている」。部品をはじめとする専門用語を学ぶため、収集した資料類は数万点に及び、ヤマハの歴史をまとめた著書もある。

 今回の書籍の編さんは五年ほど前から始めた。ハンキュー、ブラザー、トニカ、マツモト…。進めるうちに、今ではあまり流通していないブランドのピアノについて、故人となった所有者の関係者や調律師らから「どんなピアノなのか知りたい」といった問い合わせが入るようになった。

 過去のピアノが忘れられていく前に、製造に関わった人たちの努力の結晶を残したい−。過去の文献やインターネットの情報も加え、メーカーやブランドのリストを作成。メーカーの元従業員らに聞き取りをしたほか、現存するピアノを確認するため全国を回って裏付けを進めた。

ピアノブランドの多彩なロゴを紹介するページ

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 書籍は二部構成で、メーカー編では名称や住所、創業年や沿革といった情報をアイウエオ順に掲載。ブランド編はアルファベット順に、鍵盤のふたや内部のフレームに記されたロゴを豊富なカラー写真で伝える。中には、企業が宣伝用に作った「一品物」とされる幻のピアノもある。

 各メーカーが活動した時期や、国内の生産台数をまとめた年表も付けた。戦後から高度経済成長期にかけては、所得の向上や音楽教室の普及を背景にメーカーが多く存在していたことがうかがえる。

 「ドレミや和音を知らなかった昔の日本人が、百数十年かけて世界に認められるピアノを作るようになったことへの感謝を込めた。ピアノに関わる多くの人に辞書として使ってもらえれば」と三浦さん。巻末には情報提供を求める意味を込め、裏付けの材料がそろわなかったブランド名の一覧も載せており、さらなる探求心がにじむ。

 A4判、百九十二ページ、四千円(税別)。ネット通販のアマゾンのほか、市楽器博物館の売店やヤマハミュージック浜松店、全国の楽器店で扱う。問い合わせは按可社=電053(454)2330=へ。

(久下悠一郎)

 

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