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茶況・茶ばなし

茶柱立つティーバッグ ここぞの験担ぎ 百発百中

◆牧之原の問屋 口コミで人気

茶柱が付いているティーバッグ「ふく子」を手にする加藤大佳津さん=牧之原市の常楽園で(立浪基博撮影)

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 「茶柱、必ず立ちます」−。牧之原市細江の茶問屋「常(じょう)楽園」が販売する緑茶のティーバッグ「ふく子」が、縁起物として人気を集めている。オンリーワンの商品を目指し、親子で試行錯誤した一品。若者を中心に口コミで広がり、販売数は六年で十倍近くに。受験の合格祈願から顧客との商談まで、ここぞという大事な場面でのラッキーアイテムとして重宝されている。

 茶柱が必ず立つお茶は、加藤雅明社長(65)が長年、漠然と頭に思い描く「夢のお茶」だった。現実味がないように思われたが、ペットボトル茶の普及で茶葉の需要が低迷する中、明るい話題になればと、二〇一〇年に開発に動いた。茶柱の作り方を紹介するインターネットのサイトを参考にしながら、長男の大佳津(ひろかづ)さん(34)と試作を重ね、一一年夏に完成した。

 仕組みは単純だ。お茶の茎をティーバッグに食用のりで貼り付け、お湯に漬かってのりが落ちると、茎が立つようになっている。

 茶柱を作る工程は、主に三段階。まずは、大量の茎の中から太くて真っすぐな茎を手作業で仕分ける。茎の長さは数センチ程度で、見つかる確率は百本に一本あるかどうかという。直立させる原理は魚釣りの浮きと同じ。重さのバランスが重要で、上端が軽くなるように、上端だけを軽くあぶって水分を飛ばす。これを長さ一センチ程度にはさみで切ると、茶柱が完成する。

 最も難しいのが、機械であぶる工程だ。気温や湿度の影響で茎の反応が変わるため、経験則であぶる時間を調節する。お湯に漬かると食用のりはすぐに落ち、茎が立った状態でぷかぷかと浮く。大佳津さんは「『茶柱が立たなかった』という苦情は一度もない」と胸を張る。

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 価格は茶葉二グラムのティーバッグ十個入りが千八十円。一年目の販売数は五百袋足らずだったが、近年は毎年五千袋前後売れている。子どもの受験の合格祈願に購入する親が多く、受験シーズンの冬は特に注文が多い。結婚式や敬老の日などの贈答用も定番で、顧客との商談時や新年の決起集会で験担ぎに飲む会社もあるという。

 茶柱はそもそも、茶葉に交ざった茎が急須内の網目を通り抜け、運良く立ったときに実現する。近年は網目の細かい急須が主流で、製茶技術が向上して茎が交ざることも少なくなった。インターネット上では人為的だと冷ややかな声もあるが、大佳津さんは「自然に茶柱が立つ可能性は皆無に近い」と指摘する。

 店頭販売に加え、電話やホームページでも注文を受け付けている。加藤社長は「茶柱が立ったときの感動をぜひ味わって」と話す。問い合わせは常楽園=電0548(22)1147=へ。

(佐野周平)

 

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