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茶況・茶ばなし

静岡茶をタイでPR

◆県と企業 「無糖」肥満対策サポート

砂糖の入っていない静岡茶を試飲するヤマハ発動機タイ工場の従業員たち

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 静岡県が名産の静岡茶をタイ人にPRし、健康づくりも支援する食育プロジェクトに取り組んでいる。五日はバンコク郊外のヤマハ発動機タイ工場で、従業員向けの試飲会を開いた。緑茶の国内需要が伸び悩む中、砂糖の取り過ぎが社会問題になっているタイで無糖の緑茶をアピールし、輸出拡大につなげたい考えだ。

 タイ人は加糖のソフトドリンクを好み、コンビニで売られているペットボトル入り緑茶飲料も砂糖入りが人気だ。日本の独立行政法人「農畜産業振興機構」によると、タイ人一人当たりの砂糖消費量は年間五一・二キログラム(二〇一六年)で、日本人の三倍以上となっている。

 三人に一人が肥満状態とのデータもあり、タイ政府は「砂糖の取り過ぎが生活習慣病を招き、医療費も膨らむ」と問題視。九月中旬からの税制改正では、飲料に砂糖含有量に応じた砂糖税の導入を決めた。

 国を挙げて砂糖の減量に取り組んでいるのに合わせ、県の食育プロジェクトは第一弾として、静岡からタイに進出している企業十社に協力を依頼。五月からそれぞれの職場にタイ人栄養士を派遣し、従業員に食生活の改善指導をしながら無糖の緑茶を勧めている。

 この日で七社目のヤマハ発タイ工場では、従業員約二千五百人が二輪車や船外機などを製造している。昼休みに社員食堂で冷たい水出し緑茶がふるまわれ、おかわりをする人も。男性従業員のノンさん(34)は「おいしい。この味だったら毎日飲めますね」と笑顔を浮かべた。

 ヤマハ発タイ子会社の早川茂男社長は「故郷の静岡茶のPRに一役買うことができてうれしい。従業員や家族が健康を維持できれば生産性が上がり、企業としてのメリットも大きい」と話していた。

(バンコクで、山上隆之、写真も)

◆輸出「欧米へも」

 海外では近年、健康志向の高まりや日本食レストランの増加により、緑茶の需要が伸びている。日本の緑茶輸出量は、二〇一六年までの二十年間で十倍に増加。商機を生かそうと、静岡県は日本貿易振興機構(ジェトロ)や県茶業会議所など九機関と合同で「輸出拡大支援チーム」を設立し、欧米の業者を中心に商談支援に取り組んでいる。

 県お茶振興課によると、支援チームは一五年二月に設立した。同時期に県内の生産者や農協などで組織された「静岡茶輸出拡大協議会」の会員を中心に、海外の流通販売業者とのマッチングを支援するほか研修会を開催。英語に苦手意識を持つ生産者が多いため、米ロサンゼルスと英ロンドンに海外での商談を支援するサポートデスクを置き、市場調査も行っている。

 県が茶の輸出に期待を寄せる理由がある。日本はかつて世界有数の緑茶輸出国で、最盛期の一八九一(明治二十四)年には二万一千トンを輸出していた。しかし、中国やインドなどに押され低迷し、一九九一年には二百五十三トンまで落ち込んだ。その後は盛り返し、昨年は四千百八トンを輸出したが「海外の市場を取り込みきれていない」と同課の担当者は話す。

 アジア各国と価格面で渡り合うことは難しい。県は茶の質で勝負する戦略を立て、海外のお茶の専門家に実際の生産現場を視察してもらうツアーを昨年から実施している。今年九〜十月にも欧米などから二十人を招き、手間をかけて栽培に取り組む生産者の思いや静岡茶のおいしさを知ってもらう考えだ。同課の担当者は「海外では静岡茶の知名度は無いに等しいが、飲んでもらえば違いが分かるはず」と商機獲得に期待する。

(松野穂波)

 

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