トップ > 静岡 > 地域特集 > しずおか蹴球伝 王国の歩み > 記事一覧 > 2016年の記事一覧 > 記事

ここから本文

しずおか蹴球伝 王国の歩み

東海大一高の挑戦(2) 組織的サッカー貫く

優勝して選手たちと喜ぶ望月さん=国立競技場で

写真

 望月保次は東海大一の監督就任一年目、悪夢を見た。一九八二(昭和五十七)年度の全国高校選手権県大会決勝の清水東戦。2−1とリードしながら、後半ロスタイムに同点にされ、延長で勝ち越し点を許して敗れた。同点弾は、シュート性のクロスボール。風下だったため、ポトリとゴールに落ちた。その瞬間は、今でも脳裏に刻まれている。

 周囲からは「運がなかった」と慰められた。しかし、望月は「運だけでは片付けられない。(勝つために)何が、足りないのか」と考えた。ビデオをすりきれるほど見て検証した。その結果、(1)2−1の段階で、3点目を決める決定力(2)逃げ切るならば、時間の使い方を明確に−の二点が課題として浮かび上がり、選手に徹底させた。

 チームのスタイル確立にも力を注いだ。旧清水市内の有望な選手の多くは、清水東か清水商(現清水桜が丘)を選択する。「東海大一の個の力は劣る。ならば、組織的なサッカーで勝負すればいい」。最終ラインからしっかりと組み立て、数的優位をつくりながら、ボールを前に運ぶサッカーを目指した。最終ラインの組み立てのため、両サイドバックのどちらかに、技術の高い選手を置いた。

 望月独自のスタイルの背景には、七〇年代前半、日本サッカー協会が主催した第一回指導者研修会での欧州視察がある。

 オランダは名手ヨハン・クライフを中心にトータルフットボールを掲げ、組織的なサッカーを構築。七四年W杯西ドイツ大会では、準優勝に終わったが、個人技の南米勢を下した。独り善がりのドリブルを避け、テンポの速いパスで相手を崩していた。望月は「スター一人に頼るサッカーは、組織的なサッカーに淘汰(とうた)されていく」と時代の先端を見ていた。

 八六年度の全国高校選手権の県大会決勝で、望月の執念は花開いた。宿敵の清水東を下し、全国大会に初出場。快進撃で初優勝を飾った。ブラジル人留学生のMFアデミール・サントスのFKはうなりを上げ、FW平沢政輝の決定力は相手を突き崩した。「それまでの積み重ねがあったから、負ける気もしなかったし、優勝できると思っていた」。淡々と語る望月は、これまでの指導者としての来し方をゆっくりと振り返っていた。

=文中敬称略

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索