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静岡連載

宗吉の音 幻の作曲家を追って(7)

◆優しき「勇猛鉄道兵」

尾崎宗吉が作曲した軍歌「往け鉄道兵」の楽譜

写真

 一九三九(昭和十四)年十一月、尾崎宗吉が初めての出征で配属されたのは中国・北京郊外に駐屯する鉄道第六連隊第一大隊第二中隊。占領した地域の鉄道を補修したり、新たに敷設したりするのが役割だった。鉄道第六連隊で歌われた「往け 鉄道兵」からその勇猛さが伝わってくる。

 ●破竹の進軍 集団列車

  河北平野の鉄道兵

  目指すは黄河 敵線破る

  爆破だ 地雷だ 路盤が穴だ

  逃がすな敵を 急げよ修理

  徹夜で行くぞ 鉄道兵

 連隊内で「鉄六の歌」と親しまれたこの歌は、上官が作詞し、宗吉が曲を付けた。部隊を鼓舞するように、リズミカルで明るい曲調となっている。お披露目の際、兵隊たちが広場に集められ、トランペットに合わせて歌った。

 この時初めて、宗吉が作曲家であると知れ渡ったという。

 宗吉はどんな兵だったのか。同じ部隊の戦友の一人が戦後に記した良き思い出の中に宗吉がたびたび登場する。

 ある夜、連隊の演芸会があり、皆で外で歌うことになった。真ん丸の月の光がこうこうと兵舎の庭や兵たちの顔を照らし出していた。古参兵も新兵もひとつの輪になり、次々と大きな声で歌う。そんな笑顔の輪の真ん中で、宗吉がアコーディオンを奏でていた。

 音楽だけでなく、宗吉は優しさも失わなかった。「鬼が棲(す)む」という第二中隊では、内地から女性が差出人の手紙が届いただけで「女々しいやつだ」と顔がゆがむほど殴られることもあった。そんな中、戦友へ待ち望んでいた母や妹からの手紙をそっと手渡してくれたのが、郵便物処理の事務をしていた宗吉だったという。

文中●は歌記号

 

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